中華人民共和国・四川大地震の被災地について、同国政府から救援物資の輸送依頼があった件、既に報道をにぎわせている通り。
(あえての引用は不要ですよね?)
にぎわせている、といったその核心は、航空自衛隊機をもってその要請に応えるという政府方針だ。
自衛隊と呼称しているものの、事実上の(少なくとも国際社会において)日本軍機の大陸派遣は、多く説明をするまでもなく、戦後の両国関係におけるちょっとしたエポックだ。
僕もまだ報に接したばかり(今日は遊びに行ってたからね ^^;)、何ら熟考を経たものではない(まだニュース3本、blog記事1本見ただけだ)けれども、
◎自衛隊機でもって実施すべき
◎国民レベルでの信頼醸成措置的効果が期待
というのが今のところ僕の考え。
※5月30日追記
報道によると、中国外務次官との話し合いの結果、自衛隊機の使用は見送る方針を固めたとのこと。
例により報道加熱が世論をたきつけた面もあるだろうが、同時に、中国政府部内での思惑の相違もかなりあったようだ。
僕の考えでは、
我が国としては、機会を活かせず残念、惜しいことをした(しかし国内での反対派の動き、暗躍も大きかったろう)
中国の立場に立てば、これで正解だ。(せっかく悪いカードを切らせかけたのに、惜しいところだった)
注:これ以下の記事は、この追記記事以前のものとなる。
帰ってきてPC立ち上げて、とりあえずRSSリーダーを眺めたら、四川への自衛隊機派遣という言葉が目に飛び込んできた。
その人のblogへ行って、のんびりコメントなどしてみてたんだけど、よく考えたら僕も僕のblogに何か書いとくべきか、と。
(万国時事周覧さんの「中国人民解放軍は輸送能力不足?」これも見識。 また意見交換してみたい ^^)
僕が最初に見たニュース記事では、自衛隊機を使うかどうか、民間チャーターなども含め検討中とあった。
僕は、ここは絶対、空自機を使うべし、と思って、政府の判断を待つにじりじりしそうな心地だったが、次に見たニュース記事では、既に自衛隊機派遣方針を固めた、とあり快哉。(いや、快哉ってほどでもないな ^^;)
なぜ僕がそう考えたか。
まず、世論が注目するとおり、彼の国への自衛隊機の派遣というのは、きわめて象徴的なアクションだ。
そして、そもそもこの救援要請については、報道によると、
「その際、自衛隊機でもかまわない」との表現があったと伝えられる先方政府の了解が既にある。
であれば、救援のための日本軍機の被災地派遣には、信頼醸成措置的効果が期待できる。
本来 信頼醸成措置とは、双方の軍と軍の交流を通じて図られるものだが、ことこの隣国については、軍レベルというより国民レベルでの信頼醸成こそが重要という面がある。
近年は、外交において、public diplomacy ということがさかんに(国民、世論を対象にした外交といった意味あいで)言われるが、あるいはまさにそうした次元での、ある種の信頼醸成措置的効果を考えることができるのではないか。
ひるがえって、近頃の中国政府の様子を見るに、
かなり極端ともいえるような対日融和方針を打ち出している。
これは、記憶に新しいところでは、つい先日の、医療支援現場への首相来訪謝意表明など、実際不気味な面もあって、眉にツバでもつけたい気持ちにも駆られるが、
しかし少なくとも目下、(それがごく短期的戦術的なものである可能性はあるにせよ)中国政府が「今度は」そちらへ国民世論を誘導しようとしているのは事実だ。
我が国は、前述したような観点で、この機を活用すればよいと思う。
(いっそエスコート機もつければ?と思うが、それはやり過ぎか… ^^;)
さて、ただし、
活用も何も、ひょっとすると、ここ一連の対日世論形成の方針転換について、両国政府は既に何らかの合意であるとか、呼吸を合わせている可能性もある。
先方の対日融和的世論誘導については、オリンピックを控え云々、チベット問題に対する国際世論云々といったものをはじめ、戦略的な必要にせまられてのこととごく一般的に解説されているが、そうしたものとは異なる、また別の戦略で動いている可能性もある。(日本政府もそれを知っている可能性もある)
そちらの面で、今後引き続き観察しておきたいと思う。
なるほど。
2,3日前に軍関係者よる救援物資の横流しのニュースがながれてましたが、四川あたりの軍閥に対する牽制という意図もあるんでしょうかね。海外の救援機を直接、四川までとばせば、メンツをつぶすことになりますので、「メンツをつぶされたくなければちゃんとやれ」というメッセージにもなります。北京側は、そこらへんの対応をみて、救援機を四川までとばさないで、北京でおろしてもいいわけですし。
2、3日前ですか…。
なるほど、おもしろいですね。
そうした方向からは全く考えていませんでした。
もしそういった国内問題的なところから切ったカードであれば、なおのこと、日本は何がしかうまく自国のために活かしたいところですね。
各特技職自衛官による各種情報収集といった細かなものも含めて。