2008年05月18日

日本戦略研究学会



 昨日今日と、京都産業大学を会場に、戦略研究学会の大会が行われた。
 で、場所柄も京都、僕は非会員なんだけど、気軽に行ってみた。
 東京からは盟友のAくん、京都駅で待ち合わせ。

 さて、
 感想を一言でいうなら、非っ常に面白かった。

 僕はアカデミックな人間ではないので、同業?というか同じフィールドの人が集まっている場というのが、あんなに楽しい…なんともいえない雰囲気だとは知らなかった。学会…。

 自身そういうつもりはなかったんだけれど、してみると、僕はやはりこの業界の子なんだろうか ^^)

 自身発表もしてみたいので、ぜひ会員になろうと思った。

 この領域に関心のある方は、ぜひ来年は足を運んでみてはと思う。
 ちなみに来年は明治大学が会場とのこと。



 今大会の共通テーマは「戦略と情報」

 初日は、基調講演と懇親会。

 基調講演その1
 中西輝政氏「日本における情報史研究の進展のために」

 ここでいう「情報」とは、インテリジェンスのこと。

 基本的に、インテリジェンスの話というよりは、その研究のあり方というテーマでの話なので、僕自身はさほど積極的な関心はなかったのだが、
 そうした研究の必要性に関して、政府に対する助言を為し得る有識者層の保持ということ、またとりわけ、国民的社会的情報リテラシーという点における意義については、いたく同感。


 基調講演その2
 前原誠司氏「日本の安全保障戦略」

 この人は…
 こういう言い方をしては何だが…民主党にいるのが不可解だ ^^;)
 こと安全保障関連の話をきいていると。

 もっとも、あえて対抗野党にいてくれることで、
 本来であれば主要二大政党間で、根本的なところでの国家戦略の共有が行われ、その実現の方途をめぐって健全な議論と切磋琢磨がなされるのが理想ではあるのだが、
 しかし、今日まで民主党を見ている限り、およそそうした見解の集約ができるとは考え難い。いわば前原氏はちょっとした離島孤島のようなものだ。

 基本的には平素の持論を展開していたのだが、

 まずは脅威の想定。
 蓋然性から考えて、三大脅威を想定。

 1 弾道ミサイル
 2 島嶼侵攻
 3 テロ

 対処のカギは畢竟、情報力である、と。
 そしてそれは日本の最大のアキレス腱であると。

 それに併せて、いわゆる power projection capability(投射力)の欠如。

 これらの点において、日米同盟はなおも不可欠であるとせざるを得ない。

 結論としては、短期中期的には、米国との協同不可欠、
 ただし長期的には、漸次一歩一歩でも、自前の能力のレベルアップを図っていくこと。

 これは装備の生産基盤ということも併せてのことであり、そうした意味でも、現時の武器禁輸原則の見直しは戦略的にきわめて重要である、と。

 全くもってその通りと思う。


 ところで、上記のような、語弊はあるがもはや耳慣れた話とは別に、僕がいたく同感したのは、F−X選定に関しての話だ。

 いわく、
 仮にF-22が供与されたとしても、後継機をF-22だけで構成するのではなく、もう一機種と組み合わせて運用すべきではないか、と。

 ひとつは、F-22のとんでもない高額性、
 さらには、その性能特性に起因する使い勝手の問題。それは例えばペイロードであり、対地能力性ということであり、つまり作戦、運用の弾力性の問題だ。そして同時に、果たしてその表芸たる要撃・制空任務についてそれほどの機数のF-22が本当に必要なのか、ということ。

 で、配布されたレジュメには、例えばと断ったうえで、F-22とF-35といった記述があった。

 35云々はともかくとしても、この点、僕も研究してみたいと思う。
 (しかしそうした点に目が届くというところを見ても、彼の防衛素養は実に深いように思える)



 基調講演の後は、懇親会。

 会員でもなく参加も初めて。予ねて申し込んではあったものの、果たして懇親会に参加したところで、Aくんと二人でさらに懇親を深めるだけで終わるんじゃないのか、と冗談(半ば本気)を言い合いながら会場に赴く。

 乾杯が終わるやいなや、とりあえず空腹を満たすべく、そして来た以上せめて飲み食いくらいは元をとって帰らねばといわんばかり、誰よりも早速に僕は食べ物を皿にとって食べる。
 が、食べたのはそれっきり、帰りには空腹で会場をあとにすることになった。

 つまり、後は人としゃべりっぱなしだったということ。 ^^)

 若き研究者の人たち、ベテランの研究者、教授、そして現役の幹部自衛官、そして将官OBの方々、実に気持ちのよい多くの方々の知遇を得ることができた。
 汲む話の尽きぬこと…。

 僕は職場の宴席でも、初対面の人々とあんなに盛り上がったことはないような気がする。^^;)

 学会というのはなんとステキなところだろう。

 そして、ちょっとした驚きだったことには、斯界の学究の方でもなければ、実務に就いている方でもない、いわゆる巷の研究家であったり、普通の勤め人の方で興味が高じて学会に足を運んだという方もけっこう散見されたし、お話もさせていただいた。
 (まあ僕も今は実務に就いていないし学究の徒ともいえないわけだが)

 さらに僕的にかなりの喜びだったのは、blog「地政学を英国で学ぶ」の奥山真司さんとお話しできたこと。
 もっとも、お話しできたというほどのことはなかったのだが。というのも、会も終わりに近づいた頃にようやくお見かけしたので。

 実は、昼に会場に到着して受付を済ませ、プログラムの冊子を眺めていたときにそのお名前を見つけてびっくりして、これは何としてもお会いしておきたいと思っていたのだが、懇親会場でもいろんな方々と話しているうちに時間がどんどん過ぎていたのだ。

 名刺を交換した際に、Shu UETA の方で名を知っていてくれたことに驚いた。以前、コメント等を介して多少の交流はあったのだが、それも数度のこと。
 「たしか2年くらい前に…。」と奥山さん。
 その通り。すごい人だ…。

 「構造構成主義とは何か」をオススメ。ちゃんとメモってくれてた。
 僕はぜひ奥山さんの感想をきいてみたい。
 もし些かなりと興味をもってもらえたら、西條さんに紹介してみたい。
 (よろしくお願いします ^^) >西條さん)


 立命館の院の方二人や、現役の幹部自衛官の方、東京でものを書いておられる方らとともに四条で二次会。
 京都に宿とってて正解。


 二日目。
 今日は各発表。

 むろん会場は複数なので、Aくんと手分けして二人で二カ所は押さえて、帰りにお互いが聴いたものとメモを伝え合うことに。

 僕が聴きにいったのは以下。

 米田富彦氏
 「戦略と情報の原理と易経及び般若心経の謎」
 (実に興味深い考察。昨日に知遇を得ていたし住まいも近いので、今後さらに詳しくお話をうかがう予定。)

 西口和成氏
 「若泉敬の沖縄返還交渉」

 大野直樹氏
 「国家情報評価(NIE)制度の確立過程」

 小島吉之氏
 「米国の心理戦略とインテリジェンス」


 さて、最後はシンポジウム「我が国のインテリジェンスの現状とその課題」

 これが圧巻…
 仮にこれだけでも来た甲斐があった。

 パネラーの顔ぶれがもう…現時点で文字通り我が国最高峰の面々

 太田文雄氏
 (元海将、米防衛駐在官、情報本部長歴任)
 (現安全保障危機管理教育センター長)

 北岡元 氏
 (元外務省、現政策研究大学院大学教授)

 小谷賢 氏
 (防衛研究所戦史部教官)

 くどいが、、、およそインテリジェンスについて、我が国における最高レベルの識者の方々だ。

 会場がまるごと熱気に包まれたシンポジウムとなった。

 まずなにより、インテリジェンスの専門家であるそのレベルの高さはもちろんだが、その知性のレベルといおうか、短節な語り口、論理の明快、話の具体性、そして熱意、さながらコンサートライブ会場の如く、会場が一体となって大きなオーラでも発してるような感があった。

 僕自身、今後インテリジェンスというものを考えるうえで、きわめて多くの視点とヒント、カギを得ることができた。


 概要は、
 現在の日本の情報態勢とその欠落している部分について、
 それを補うための方途と、目下の進捗、見通し、
 これらとあわせて、インテリジェンス活動の本質について。

 いずれ、別に記事を立ててこの議論の一端に触れてみたい。


 本当に楽しかった。
 自分なりの宿題もいっぱい見つけて帰った。
 今度は僕も発表させてもらいたいなあ。


 スタッフ、関係者の皆様、京都産業大学の方々、おつかれさまでした、ありがとうございました。^^)


 最後に余談。

 今回の会場、京都産業大学は、少なくとも関西一円では、京産大として知られてるんだけど
 基調講演のときから、人が持っているペットボトルのお茶が「京産茶」ってラベルされててびっくりした。
 大学のお茶なんてあんのっ?

 と思ったら、二日目の今日に知った。
 「きょううぶちゃ」って仮名がふってあった。
 そういうペットボトルのお茶があるんだね ^^;)
 知らなかった。


posted by Shu UETA at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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