2008年04月09日

トム・ピーターズ

 僕は学生の頃、トム・ピーターズのファンだった。

 て、過去形にするのもどうだろう。今は?

 わからない。でも、大好きなひとの一人ではある。
 久しぶりに著作を読んでそれを再確認。

 ただ、(わかるひとはわかるだろうが)彼というのは、こちらのテンションがあまりに低いときには、かえって疲れるひとだ ^^;)

 ある程度以上に自分に元気があれば、いっそう元気になれるんだけれど。

 そう、ふと久しぶりにトム・ピーターズ節に接してみたくて、何年かぶりに本を読んでみた。

 彼の言いたいことは十分承知してるから、本はもうどれでもよかった。図書館で適当に一冊選んで読んだ。

 今回手にとったその本は、「知能販のプロになれ!」というもの。

 この本のテーマとしては、常々彼が言ってきたことを、会社の人事や総務、経理といった、いわば後方的、スタッフ部門的な部署に特化して述べること。(適当に選んだものの、ちょっと意表をつかれた ^^;)

 つまり、経理や人事でも、営業だとかクリエイティブ部門だとかと同じくらい、あるいはそれ以上にも「カッコイイ」職場になれるし、なるべきだってこと。
 ピッチの中田英寿のようになれないわけはない、ならなきゃ!ってこと。

 今回僕があらためて気に入ったのは、「助け合い」というか「all for one, one for all」というか…どちらもこうして書くとツキ並みだが、あるいは僕の感覚では「武士は相見互い」とでもいうようなことについて彼が言っていること。

 それからもうひとつ、今の自分にとってちょうど良いカンフル剤になったのは、徹底したプロジェクト意識のススメについて。



 相見互い

 助け合いなしに、プロジェクト生活は成り立たない。イギリスのけったいな会社(マーケティング専門のコンサルタント会社)イマジネーションの総帥、ゲイリー・ウィザーズは、すごい仕事をやれと、いつも社員の尻を叩いている。

 そのウィザーズがこう言っている。地位にかかわりなく、どんなに忙しくても、誰か困っている人がいたら、自分の仕事を放り出して、助けに駆けつけなければならない。それを徹底したことが、イマジネーション社発展の秘訣であると。

 超一流のプロは、凡人が考えないことを考える。そして、誰か困っている人がいたら、いやな顔ひとつせずに、助けに駆けつける。ちなみに、あなたが何か価値ある仕事をしているなら、いささか型破りなことに挑戦しているなら、あなたも必ず困るときがくる。

 一意専心なくして、成功はない。同時に、助け合いを忘れて、成功はない。

 私が以前勤めていたマッキンゼーは、脇目もふらずにプロジェクトに没頭することを求める会社だった。凄まじいプレッシャーのおかげで、私はカフェイン中毒になり、いろいろなクスリのお世話にもなった。プロジェクト、プロジェクト、プロジェクト、明けても暮れてもプロジェクト…それがマッキンゼーでの生活だった。

 ところが、ひとつ、大きな例外があった。もしも、オーストラリアやオーストリアにいる同僚から情報を求める電話があったら、あるいは、プレゼンテーションを明日に控えた他のチームが夜の一一時に助けを求めてきたら、いまやっていることをただちにやめて、手を貸さなければならなかった。そうしなければ、社内の誰からも相手にされなくなった。

 正直言って、人助けがそんなに楽しかったのかどうか、よくわからない。情けは人のためならず…みんなよく知っていたのである。自分も必ず、人の助けを必要とするときがくることを…。ウィーンやシドニーの情報が必要になるとき、真夜中の一時にコピー機の前で奮闘してくれる人が必要になるときがくることを…。

 「歩き回り管理」をもじって、「語り回り管理」という本を書いたデービッド・アームストロングは、アームストロング・インターナショナルの経営者であり、みずからの経営理念をこう書いている。「目がまわるほど忙しいとき、よそのチームを助けるために、予定外の二マイルを疾風のごとく走る者を、輝けるヒーローとして顕彰する」


 こうした(隆慶一郎風にいうなら)真の戦人(いくさにん)と戦人の間なればこそ、「相見互い」ということが生まれてくるんだろうなと思う。
 「相見互い」というのは、しばしば思われがちであるような、甘っちょろい同情や助け合いなんてものではない。

 ちなみに「攻殻機動隊」^^;) の9課長もそんなことを言ってたっけ。
 9課は、チームプレーだなんて甘いことを求めていない…とかなんとか。


 プロジェクト

 すべての仕事をプロジェクトに変えよう

 時間のすべてをプロジェクトに捧げよう。どんな仕事もプロジェクトに変えられる。これは絵空事ではない。凄腕のプロの手にかかると、アルバイトにやらせるような雑用が、会社のあり方を変える一大プロジェクトに変身してしまう(たとえば、マッキンゼーのときの同僚、ビル・マタソーニは、書類整理という雑用を、戦略的知識共有プロジェクトに変えてしまい、このプロジェクトがクライアントの会社を根底から変えてしまった)。

 NFLのコーチがどれだけのプロジェクトを抱えているか考えてみよう。レギュラーシーズンは一六試合あるから、一六のプロジェクト。スーパーボウルまで駒を進めるとすれば、さらに四試合あるから、四つのプロジェクト。各選手の力をどう引き出すかという仕事があるから、登録選手の数でかぞえて四四のプロジェクト。そして、これらをすべてひっくるめた一シーズンという一つのプロジェクト。

 トム・ピーターズにとっても、サンフランシスコ・フォーティナイナーズのコーチ、スティーブ・マリアッチにとっても、プロジェクトがすべてだ。
 みなさんもそうなるべきだし、そうなれるし、そうならなければいけない。


 あなたが何をやろうとしているかは、あなたのプロジェクト・リストを見ればわかる。そのリストが、あなたそのものになる。
 だから、すばらしいリストを作ろう。

 そして、自分にウソをつかず、くすんだもの、さえないもの、退屈なものを、容赦なく切り捨てていこう。

 あなたがどの程度の人間かは、どの程度のプロジェクトに取り組んでいるかで決まる。


 さて、自分のプロジェクト・リスト(プロジェクト・ポートフォリオ)を眺めてみて、どうだろう。われながらすごいと思うか、それとも…いまいちさえないか…。

 あなたの価値はプロジェクトで決まる。あなたには、あなたのプロジェクト以上の値はつかない。


 プロジェクトがある。それ以外に何がある?忘れないでほしい、プロジェクトがあなたである。だから、プロジェクトを一生の思い出にしよう。


 私自身の体験も紹介しよう。それは小さなことだった。芥子粒ぐらいに小さなことだった。

 一九六八年、国防総省に勤めていたころ、私は小さな報告書の様式を変える仕事を仰せつかった(ちなみに、それはほとんど誰も読まない報告書だった)。私はそのころから統計というものが好きだった。だから、その(つまらない)仕事を真剣にやってみようと思った。思っただけでなく、脇目もふらず、その仕事に全力投球した。

 すると驚いたことに、上層部で私の仕事の成果が話題になりはじめた。これはおもしろいことになりそうだと思った。
 それから何度修正したかわからないが、一年後、数多くの野外演習が、基本的に、私が書式を作り替えた報告書によって査定されることになった。

 教訓一、つまらない報告書の書式変更が、すごいプロジェクトになった。教訓二、精魂を込めれば、すごいプロジェクトにならないものはない。どんなにつまらない仕事も、やり方次第でものすごいインパクトをもつ。

 友人(俳優)から聞いたのだが、演劇業界ではこう言われているという。
 「小さい役はない。あるのは、小さい役者だけ」

 私流に言い換えるとこうなる。
 「小さい仕事はない。あるのは、小さい想像力だけ」

 国防総省での経験は、忘れられない教訓を私に残してくれた。私はさらに一歩進めて、こう言いたい。
 すごくないことは、やってはいけない。


 人を感動させるのがプロ

 人事の仕事はカッコいい。経理の仕事はしびれる。情報システムの仕事は鳥肌が立つ。
 少なくとも、スタジアムや劇場で起こることに負けないくらい、カッコいいし、しびれるし、鳥肌が立つ。みなさんにそうわかってもらうことが、私の使命だと言ってもいい。

 ピッチに立つ中田英寿、ステージに立つルチァーノ・パヴァロッティと、仕事に打ち込む自分の姿をだぶらせてみよう。観客の視線を一身に浴びる自分をイメージしてみよう。
 あなたは、何千、何万という人(同僚やお客さん)を感動させ、幸せにするすごいプロジェクトをやっている。ね、そうでしょう?



 そう、プロジェクトだ。
 そこで僕も、自分の取り組んでいるプロジェクト、取り組むべきプロジェクトについて考えてみた。

 塾もそうだし音楽も構造構成主義も政策研究も。

 燃えるね ^^)


 この一文にも触発された。

 スプリット・フィンガーの投げ方をマスターしてやろうと決意して、春季キャンプに乗り込む大リーグの中継ぎ投手を想像してみよう。あなたにも、マスターしたいものがあるはずだ。



 他にも彼らしい、まさにトム・ピーターズ節は、まだまだあったけど、全文をここに引き写してもしかたない。

 興味あるひとは、トム・ピーターズの著作をいちど手にとってみてください。(もっとあったと思うんだけど、アマゾンで見る限り、これだけ?みたい。ちなみに英語okなひとは、ペーパーバックスで読むともっと面白いですよ!)

 どれを読んでも彼らしさ爆発のはずだから、こだわる必要はまったくないと思うけれど、あえて基本書とすれば、「経営破壊」が僕はオススメかな。(「エクセレント・カンパニー」は最初はオススメしない。大前研一の邦訳は今ひとつ。)


 ちなみに、彼はずっと同じことを言い続けているんだけど、今でこそ受け入れられるようになったその感覚、手法を、80年代から言い続けているということが凄いと思う。(当初はかなりイロモノというか変人扱いされることもあったし)

 「第三の波」のトフラー夫妻と、このトム・ピーターズ、彼らの先見ぶりには本当に驚くばかりだ。


 最後にもうひとつだけ、彼らしい文を。

 コンサルタントは、コンサルタントを必要としている。
 悪い冗談だと思うかもしれないが、そうではない。
 私がこれまでいっしょに仕事をしてきた一流のプロはみな、おそるべき「個人教授大学」をもっていた。つまり、創意の泉を涸らさないために、「知恵袋」を大切にしていたのである。彼らは、個人教授大学の教授陣の拡充に余念がなく、最先端にいる人たちの知恵を拝借して、最先端よりさらに先を行こうと考えているのだ。

 (中略)

 読者の中から、こういう反論が出てくるかもしれない。「私は、世界中に広い人脈をもつマッキンゼーのパートナーじゃない。」それに対し、私はこう反論したい。「バーカ」

 たとえば、あなたは今週の土曜日の夜、あるレストランで食事をする。そのサービスには感動した。それなら月曜日に(すぐにその場でもいいが)、そのレストランのオーナーに電話をかけ、ぜひお話を聞きたいと言って昼食に誘ってみればいい。OKしてくれたら、あなたには個人教授がひとりできたことになる。次にサービスに関係ある仕事をするとき、その人に電話をかけ、相談をもちかけることができる。コンサルティング料を払うから、チームに加わってほしいと頼むことができる。

 わかっていただけただろうか。
 これが、カッコいい変人奇人の集め方である。社会的地位よりも、その気になり、本気になることのほうがはるかに重要である。


 
posted by Shu UETA at 21:09| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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