2008年04月01日

ゆるい連邦制的組織(塾)


 昨日につづいてちょっと塾ネタを。

 僕が教えている塾は、この春から3教室同時オープンした、ということを以前にも書いたけれど、

 実は、この三つの教室、それぞれにカリキュラムも指導方針も異なる。
 考えてみれば、これというのは、普通、そんなには無いことだと思う。

 もちろん塾としての大方針であり、コンセプトというものはある。
 が、それぞれの教室における責任者の裁量の余地はきわめて大きく、言うなれば、「ゆるい連邦制」的な組織となっている。

 そして、古くからの読者の方には想像に難くないだろうが、
 僕が実に気に入っているのが、そこなのだ。

 僕は、僕が出逢うモノ、コトは、僕が出逢うべくして出逢っているものと考えているし、実際これまでもそうだった(後知恵もあるにせよ)。
 そしてそれは僕が自然体で生きていることと、そして強運であることによると思ってる。

 で、たまたま求人紙で見つけたこの仕事、なんと僕にふさわしいことか。
 僕は、ここで、そうした「ゆるい連邦」的な組織の振る舞いをじっくり見てみたいと思っているし、一定の知見を得るつもりでいる。


 採用の際の話では、教室の運営、指導方針・方法、カリキュラム等について、一任するということだった。

 しかし、オープン前の何度かの全体会議の折に、コンセプト、カリキュラムの話に議題が及んだ際、それらの議論の叩き台として社長が配布したカリキュラム案をめぐって、さまざまに異論が出た。

 たとえば、当該案では、9月までに学年の内容を一通りすませて、以降は復習と応用に充てるというものだった。

 ある教室責任者は、真っ向から反対する。
 学校の進度にそって、じっくりやるべきだ(やりたい)。

 水を向けられた僕はこう言う。
 「ウチ(芦屋教室)は、夏休みの8月までに一通りやります。9月から二通りめをやります。」

 そして僕は危機感をもっていた。
 採用時の話では、一任ということだったのに、今日この場で全体の統一的方針を決めてしまうのか…? と。

 (ちなみに本来であれば、われわれ採用にあたっての塾そのものの社長方針は、学校より少し早め早めでやって、子供に自信と余裕を持たせたいというものだった。故に本当は上記反対意見の方が、些かスジを外れていると言うことはできる。)

 危機感ゆえに、僕は、「どう思いますか」ときかれた時点で、あえて発言内容をローカル化して、(他はしりませんが)「ウチは、・・・・する予定です」という答え方をしてみた。

 で、休憩の際に(喫煙者は僕と社長だけ)、
 普通ならあり得ないことだろうとは思いながら、それぞれ独自でもいいかもしれない…ということを社長に言ってみようと思っていた。(ちなみに統一方針をつくるのなら、僕は、辞めようと考えていた。採用時の説明と違ってくるので。)

 すると、話は社長の方からだった。
 講師の考え方、哲学もそれぞれ違うし、また地域の土地柄等もある。教室ごとにそれぞれ違っていてもいいんじゃないかと思うんですが、どうですかね、まずいですかね、と。

 もちろん僕に異論はない。

 会議にもどって、その旨が社長から説明された。

 しかし、本当は、こんなことってなかなか無いと思う。
 ある人に言わせれば、目茶苦茶な話だということになるかもしれないが。


 僕は、会議の場で、ただしひとつだけ念押しをしておいた。
 ただバラバラにやるだけなら、本当にバラバラの塾になってしまう。

 あくまでも、塾としての大方針、コンセプトがあって、
 その実現のための手段を各教室が選択するのであって、大方針、大コンセプトを逸脱してはならない、ですよね、と。

 そこで、塾としての大方針、大コンセプトを、再度確認した。
 連邦憲章のようなものだ。

 さて、「ゆるい連邦制」的な組織を有機的で創発的なものにするためには、もうひとつ必要なものがある。

 それは、なんらかの方法で、各教室の達成度を測るということ。
 この共通ゴールがなくてはならない。

 その場で、学年末に共通の学習定着度(達成度)確認試験をやろうという話が決まった。
 これが学力面。

 もうひとつ、「楽しい」「勉強が好きになる」というコンセプトについては、これという測定方法が見つかっていないが、春期講習を終え、通常授業の生徒獲得という現段階、おそらくは皆が暗黙のうちに、非常に意識しているのではないかと思う。


 さてところで、そうした結果、
 ある教室は、基本的に学校の進度に沿って、じっくりと進めていくということになったし、教室には、各種の問題集も並んでいる。

 僕の教室は、夏休みいっぱいまでに一年分をやってしまう。あとは二通りめをやりつつ応用問題を加えていく。
 (ちなみに、そもそも僕のところだけが、エリアが二つの市にまたがっており、教科書も異なり、学習内容の出てくる順番も違っているため、両方に対応すればいずれにせよ、先行的なカリキュラムにならざるを得ない。)
 さらに、作文・発表・暗唱・基本計算といった脳力アップを柱のひとつとして織り込んでいく。ゲームもやる。休憩をかねて身体術もやる。

 もうひとつの教室は、進度については上記二つの中間的なものになるようだ。

 その他、保護者とのコミュニケーションや教育資料、教育管理等、やはりそれぞれ独自のスタイルを構築しつつある。
 たとえば僕のところでは、毎回、その日にやった内容と、その子の様子を書いたものを子供に持ち帰ってもらっている。これはウリのひとつ。


 オープンから春期講習にかけての生徒募集についても、とうぜんながら連邦政府的に社長が大規模広告や折込、ポスティングを打っているが、各教室ごとに独自の方法で広告の配布や問い合わせ応対を行なった。


 あとは、各教室間の円滑で活発な情報交換環境を用意すること。
 当面はメーリングリストを開設し、追って専用サイトを準備する。

 情報交換、共有を活発にして、それぞれにノウハウを蓄積しつつ、教室間の創発効果を期する。
 いいなと思ったことは取り入れる、あるいは微修正して取り入れる。その微修正したものが今度はその本家に取り入れられるかもしれない。



 僕が理想とする(政策ともするだろう)地方組織は、道州制なんて中途半端な生っちょろいものではなくて、こうした連邦的組織だ。(むろん今さら本当に連邦にならなくとも、連邦的な独自性の発揮を制度的に保障する)

 さらに、国家機能の一部を、各自治体が分担することまで構想しているが、それを今の塾にあてはめると、たとえばこういうことになる。

 あくまで例えばだが、
 塾全体としての営業・PR活動機能を、西宮教室が担当する。
 塾全体としての情報通信関連整備を芦屋教室が担当する。
 全体としての備品管理、補給を東灘教室が担当する。
 云々云々…

 そしてこれらは固定的ではなく、一定営業年度ごとに持ちまわる、少なくとも担当替えをすることで、さらにさまざまな効果が期待できる。

 塾全体の運営への個々の参画意識と大局的視野、担当替えの新風による十年一日のワンパターン防止と新たな発案、もちろん組織的腐敗防止、

 今後も教室は新規オープンしていく(予定)。
 そうすれば、この塾はもっとおもしろいことになる。 ^^)


 組織としては小さなモデルではあるが、ここで得られる知見は、得られるだけ得るつもりだし、誕生から成長というまたとない機会を、存分に楽しみたいと思っている。

 もっとも、今はまず、おあずかりしているお子さんたちをしっかりと育てること、そして組織としては、なんとかしっかり採算ラインに乗っていくことが先決なのは言うまでもないけれど。
 案外四苦八苦だったりして ^^;)
posted by Shu UETA at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 思索 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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