2005年11月03日

戦略入門006


 メールマガジンの古い過去記事の転載です。




■ 戦略入門 vol.003 ■概論(06)
04/08/12                       ■ はじめに ■

 今回は、状況判断をテーマにお送りします。

 状況判断とか分析とは、頻繁に耳にする言葉ですが、その全体像、一連の作業の流れというものは、案外イメージされていないことが多いようです。
 そこで今回は、状況判断という活動の流れを大局的にざっくりとイメージしていただければと思います。


■ Index ■

   --状況判断--

   1 状況判断
   2 任務の分析
   3 状況分析
   4 対応策


1 状況判断

 言うまでもなく状況判断とは非常に重要なステップですが、ここでその一連の流れというものを考えてみましょう。

 わかりやすく表現すると、こういうことになるでしょう。

 ■ 達成、実現したいことがある(目的・目標)
 ■ そのために必要な行動とは何だろうか?(任務分析)
 □ その行動を行う上での障害や阻害要因はないか?
 □ あれば、それはどのようなものが考えられるか?
 ◆ それらを取り除く、あるいは避けるにはどうすればいいか?(対応策)
 ◆ どのような方法で、必要な行動をとるか(対応策)

 これが状況判断の位置づけです。

 では、以下各項目にわけて、順に見てまいりましょう。


2 任務分析

 まず最初に必要なのは、「何をしなければならないのか」「何がしたいのか」ということを明確にすることです。目標分析あるいは任務分析と言うことができますが、案外、蔑ろにされているステップであるようです。

 目標を明確にし、何をいつまでに、どこまでのことが達成されればよいのかということを明らかにして、疑念の余地がないようにしておくこと、また、それが任務として割り当てられているときにはなおのこと、その与えられた任務を十分に分析し、明確なものにしておかねばなりません。

 この点を疑念の余地なく明確にしておかねば、状況の変化に応じて計画を変更するなどの際に、余計な時間を浪費することになったり、行動の選択を誤ったりすることになりがちです。

 特に、上位組織から付与された任務の場合は、念入りに分析し、一切の疑念がないようにしておかねばなりません。少しでも疑問があれば、速やかに確認しておくことです。
 ここを疎かにしていることが一般に多く見受けられます。

 繰り返しますが、任務分析を明確にすることは、きわめて重要です。
 例えば5W1Hに沿ってもよいでしょう、とりわけ、何を、いつまでに、どうすればよいのかを明確に、さらに、どのように(方法、手段)についての制限、してはならないことなどはないのか、これらを十分に整理して確認することです。

 上司の指示等に対しても、これらを端的に整理して復唱確認すれば上司も安心します。
 逆に、命令、指示を与える立場にあれば、これらのことを明瞭に指示することが大切です。

 優れた軍隊、組織とは、各級指揮官がこのプロセスをしっかり行う習慣がある組織です。


3 状況分析

 「何をどのようにするか」ということが明確になったら、次は、実際にそれを行うことを考えてみましょう。
 障害、阻害要因はないでしょうか。

 夕食の材料を買うために近所の店に行くとします。
 今夜何を食べるか、そのためにどんな材料が必要か、、、これは任務分析ですね。
 これが明確になったら、実際に、家を出てから店に行って買い物をするところまでを考えてみましょう。

 手許のお金が足りないようだ。
 外では雨が降っている。

 こういった障害を見つけるかもしれません。すると、途中キャッシュコーナーに立ち寄って行くことになるかもしれません。カサを持って出かけることになるでしょうか。
 こういった阻害要因を見つけることが、状況分析です。そこから、対応策を考えることになります。

 戦争におけるひとつの作戦についてであっても、結局はこれと同じです。
 ただひとつ違うのは、買い物の例とは異なって、あえて主体的意志によってこちらを妨害しようという者が存在するということです。そのため、状況分析は複雑になるのです。

 状況分析では、周囲の環境、敵もしくはライバルの可能行動を洗い出し、分析することになりますが、ここで重要なのは、「可能行動」という言葉です。

 可能行動とは、文字通り相手がとり得る行動のことですが、あくまで、物理的・能力的な可能性を対象にしなければなりません。
 というのは、往々にして相手の心理的可能性ばかりを念頭におく、つまり、こういうことをやりそうだとか、まさかこんなことはやらないだろう、といった考え方に陥ることが非常に多いからです。むろん、心理的可能性も検討の対象にはなりますが、それは次の段階です。

 まず最初に対象にすべきは、相手が「なにをやりそう」ではなく「なにができる」かということでなければなりません。
 「まさか○○を使うことはないだろう・・・」ではダメなのです。「○○を持っている、使うことができる」という事実を認識しなければなりません。そこから初めて、その使用を思いとどまらせる戦略や、使用された場合の応戦策、対応策がテーマとなるのです。

 ここは重要なところです。繰り返しますが、「しそうかどうか」ではなく、「し得るかどうか」、つまり物理的・能力的可能性を検討することです。
 これは外交でも同じです。

 敗軍の将は、敵に対する想像力を欠く、ということがよく言われますが、実は、仮に想像力を欠いていても、「敵の意図」ではなく「敵に可能なこと」に焦点をあてていたならば、問題は小さくてすむはずなのです。

 状況分析では、とにかく徹底的に情報を収集するべきです。
 特に、スタッフを使ってそれを行っている場合、情報の取捨選択をどのレベルで行うかということを明確にしておくことが大切です。そうでなければ、あなたやあるいはあなたが任命した責任者の知らない末端において、勝手に情報の取捨選択が行われることになります。


> 相手の意図ではなく能力を見ること。


4 対応策

 任務分析で確立した「なにをしなければならないか」と、状況分析で想定した「障害・阻害要因・敵(相手)の行動」の可能性とを検討し、自らのの対応策をつくることになります。

 ここからは、実際の戦理の適用がテーマとなってくるので、今日のところは立ち入りませんが、ぜひ留意していただきたいのは、代案をもつ、ということです。

 対応策は、複数のものを持つ習慣を身につけて下さい。

 これは、何も大きな作戦や企画だけに限ったことではありません。あなたが上司になんらかの提案を行う際にも、少なくとも3つの案を胸にして上司のデスクを訪ねる習慣を身につければ、しばらくの間には、あなたに対する評価はかなり違ったものになってくるでしょう。
 場合によっては複数案を同時に提示するということもあるでしょうし、あるいは一案を出し、相手が難色を示すのに応じてすらすらと代案を出していくということもあるでしょう。

 「策は三策なかるべからず」といいます。
 まずは3策を目標にしてみませんか?



 次回は、今回の「状況分析」の流れを受け、状況と戦法について、本誌の哲学に沿って言いかえると「戦法と状況形成」について概観します。
 「シナリオ作戦」と「間接的アプローチ」の概要です。お楽しみに。


□戦略入門
□http://www.aurora.dti.ne.jp/~rainy
posted by Shu UETA at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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