2005年11月02日

構造構成主義シンポジウム(1)


 みんな告知しているので僕も ^^;)

 まだしばらく先ですが、構造構成主義関連のシンポジウムがあり、どうも僭越ながら僕も参加させてもらう予定です。


★ 日本発達心理学会第17回大会

 期間 2006年3月20日(月)〜3月22日(水)
 会場 九州大学 箱崎キャンパス文系地区

 本大会において、構造構成主義のシンポジウムが開催されます。(日程時程は未定)



『理論』を飼いならせ!!
−構造構成主義からの提案−


 企画:京極 真(会員) 江戸川医療専門学校
 企画:西條剛央(会員) お茶の水女子大学院,東洋大学,立教大学,首都大学東京,東京福祉大学
 司会:家島明彦(会員) 京都大学教育学研究科

 話題提供:西條剛央(会員)お茶の水女子大学院,東洋大学,立教大学,首都大学東京,東京福祉大学
 話題提供:京極 真(会員) 江戸川医療専門学校
 話題提供:上田修司(非会員) 政治構造構成研究会
 指定討論:池田清彦(非会員) 早稲田大学
 指定討論:菅村玄二(非会員) 日本学術振興会,早稲田大学文学研究科


<企画趣旨>

 近年,西條(2005)によって体系化された「構造構成主義」は,信念対立という世界が抱える難問を超克するメタ理論として注目されている。それと同時に,「理論」は絶対的に正しいものでも,どこからか与えられるものではなく,自らの手で作り,使うものだという強烈なメッセージを読者に投げかけた。そして,それはさまざまな領域に構造構成主義を継承発展させる原動力となっている。

 『構造構成主義とは何か』(北大路書房,2005年)が公刊された当時に示された継承発展領域は,発達研究法,質的研究法,知覚研究法,心理統計学,医学,QOL,甲野善紀流古武術(身体技法)であったが,最近では1年足らずの間に新たに作業療法学,政治学,歴史学,認知運動療法学,理学療法学といった分野へと応用されている。

 本シンポジウムでは,こうした最新の動向をふまえて,『理論』を飼いならす(作り,使う)コツについて話題提供する。
 
 話題提供者としては,第一に構造構成主義の創始者である西條剛央氏に理論の“作り方”について論じていただく。第二に,構造構成主義の継承発展者である京極真氏と上田修司氏に,理論の“使い方”についてそれぞれの立場から論じていただく。

 指定討論には,構造構成主義の基盤となった構造主義科学論を体系化した池田清彦氏と,新進気鋭の構成主義研究者である菅村玄二氏を招き,討論を展開していただく。我々は「理論」をどのように作り,どのように使い,どのように接するべきか,建設的な討議を行いたい。


 話題提供
 <理論の作り方>
  西條剛央

 理論は,よく「机上の空論」という悪口があるように,実践と対置されて捉えられることは少なくない。確かに,理論を書くときは机上で書く。また,理論を提示するときは「この発想はこうした現体験がもとになっている」とか,「廊下を歩いているときにひらめいた」とか,「この部分をどれだけ強調して書くか悩んだ」といった紆余曲折は省略して,できるだけ最短ルートで理解してもらえるように「演繹的」(トップダウン)に書く。

 しかし,実際には,自らのこれまでのすべての経験を非明示的な「データ」として,「帰納的」(ボトムアップ)に作り上げている。もっといえば,日常生活や研究活動を通した違和感などを出発点として,「どうも既存の理論ではその違和感が拭えないぞ」という実感から,その違和感を解消するための理路(筋道)を組み立てていくことになるのである。

 そうしてボトムアップに組み上げていったものを,理論的に提示するときは,その経験に基づく帰納的な部分を省略し,論理的一貫性を重視しつつ,トップダウンに提示するのである。それゆえ,一見すると理論は机上の空論にみえるし,理論家は血も涙もないように思われるかもしれない。

 しかし実際には,自分の実感と既存の理論との違和感(血や涙)を通して練り上げているのであり,日々の実践を軽視しているのではない。むしろ,多くの人の経験や実感に沿ったものであり,また違和感を解消する理路を備えていなければ,人々の関心に照らして価値のあるものにはならないため,多くの人の心に届くことはないだろう。ここでは構造構成主義という新たな理論を作った経験から,こうした「理論の作り方」について論じてみたい。 


 話題提供
 <継承発展円環モデル:理論の使い方のコツ>
  京極 真

 本話題提供では,継承発展の経験を還元し,そのコツを『継承発展円環モデル』として提示したい。

1「問題意識」 理論を「使う」にあたって,自らの「問題意識」を明確にする必要がある。問題意識がなければ,理論の意義がわからず,どう使えばいいかわからないからだ。問題意識は,何気ない日常生活,研究活動などを通した違和感から,自らの経験に立ち返り,問いを持つことで育まれるといえよう。

2「根本問題」 理論を「使う」ためには,さらに問題の本質を捉える必要がある。言い換えれば,問題意識が「生起する構造」を把握する必要があるのだ。このように,問題の本質を根っこからつかむことで,表層的な議論に終始することを避け,問題を根底から解決することが可能となる。それによって,その問題を解決するために“どのような理論を選択すればよいか”が規定されていくのである(理論の関心相関的選択)。

3「原理をつかむ」 継承発展は,理論を「理解する」ことだけではなく,それに加え実際に理論を「駆動する」ことが求められる。その際に重要なことは,理論の枝葉末節に囚われることなく,核心となるエッセンスをつかみ出すことである。それはつまり,理論の中核をなす「原理」(哲学的営みから得た理路)を見いだすことといえよう。

4「組み立てる」 原理をつかみ出せば,根本問題を「原理的」に考え抜く必要がある。この作業では,既成の自明な考え方に安直に沿わず,原理的に一から考え直すことによって,新しい理路を組み立てることが求められる。

 なお,以上の1〜4は,便宜上,時系列に沿って提示したが,実際には1〜4を往復するものであり,非常にダイナミックな思想的営みであることを付け加えておく。


 話題提供
 <政治における構造構成主義の可能性>
  上田修司

 西條氏の提唱された構造構成主義に謳われる信念対立の解消超克とは,科学,学問のフィールドにとどまらず,政治という営みにおいてもきわめて重大な関心事であり,メタ理論としての構造構成主義は,政治システムにおいても応用,導入することが可能であると考えている。

 また,あらためて構造構成主義というモノサシをあててみるならば,わが国の歴史的国制,政治的文化というものが,実に構造構成主義的傾向をもっていたことに気づく。

 天皇制を維持しつつ,そのもとで時代に応じて政治制度を変遷させ得るという国制は天皇制をメタシステムとした構造構成主義的システムであるし,納得の原則を採りつつも,敗者への配慮,祭り上げの国民性はルサンチマンの緩和剤として機能してきた。

 一方で今日の民主制システムにおいては,イデオロギーあるいは利益集団間の対立はむしろ顕著化し,その調停手段は専ら数の勝敗という形をとって決着され,勝者山分けの一方で敗者の不服を募らせながら,国内の分裂傾向を強め,それがさらに対立を先鋭化させていくという傾向にあり,ひいては思考と議論の全体的質の低下をも招きつつあるように思える。

 こうした問題意識を踏まえつつ,構造構成主義の観点から,政治プロセスにおける信念対立の拡散と政策議論の質の保障等を図るためのいくつかの視点を提示してみたい。



 <本シンポジウム参加の際の留意点>

 進め方は,話題提供が各20分以内(計60分),指定討論が各10分以内(計20分)とする。その後,会場のみなさんの意見も求めた上で,話題提供者,指定討論者間でもディスカッションをしていくように心がけたい。

 と書いてあったにもかかわらず,各発表者が時間超過して,結局のところ一方的な話題提供で終わり,参加者はフラストレーションを抱えて帰るというありがちなパターンに陥らないように,時間厳守で進めるとともに,質問はできるだけ簡潔にしていただくことにしたい。

 また本シンポジウムの内容はそのまま出版物になる可能性もあるので,各人はそれを踏まえてご発言いただきたいと思う。なお,本シンポジウムの関連文献は以下になる。これらを踏まえることでより建設的な質疑応答が可能になると思われる。

 <参考文献> 
 池田清彦・西條剛央著 2006 メタ理論の作り方−構造主義科学論から構造構成主義へ 北大路書房
 西條剛央 2005 構造構成主義とは何か―次世代人間科学の原理 北大路書房


 なお、僕の所属が「政治構造構成研究会」となっていますが、この団体は現在設立準備中です。^^)


posted by Shu UETA at 17:36| Comment(5) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
当日楽しみですね。
それと「政治構造構成研究会」かっこいい名前ですね!
そのうち「国際構造構成主義学会」みたいなものができたときに,政治構造構成研究会が協賛になれば,さらに力強そうですぜ(^^)。
Posted by まこすけ侍 at 2005年11月04日 23:31
> まこすけ侍さん

 はいっ
 楽しみです

 先日西條さんにも少し話していたのですが、
 僕は、
 自分が構想していた国家像に、すっごい理論を得た気がしています。
 で、大いに構造構成主義を活用しようと思っているのですが、ネーミングは、「構造構成主義」という柱のひとつと、単に政策だけでなく政治システムまで踏み込む意味で「政治構造」ということとをかけています。

 構造構成主義の海外雄飛も含めた将来ますますの発展に、そろってついていきたいと思います。^^)
Posted by Shu at 2005年11月05日 01:43
なるほど!
すんごい楽しみですね!

それと“政治構造”構成研究会なのですね。
僕は勝手に“政治”構造構成研究会だとばかり思っていました(^^;)。

ともに頑張っていきましょうぜ!
Posted by まこすけ侍 at 2005年11月05日 19:52
> まこすけ侍さん

 政治「構造構成」研究会と「政治構造」(構成)研究会をかねてネーミングしました。^^;)
 が、実は英語表記では前者での訳になる予定です。

> ともに頑張っていきましょうぜ!

 おうっ!! ^^)v
Posted by Shu at 2005年11月05日 20:03
 政治構造構成研究会
 http://seikouken.seesaa.net/
Posted by Shu at 2006年11月27日 02:05
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