2005年10月27日

戦略入門 005


 古いバックナンバーの転載です。



■ 戦略入門 vol.001 ■概論(05)
04/08/05                       ■ はじめに ■

 本日より、「戦略入門」としての新装発行です。
 「戦略入門」は、従来の「Samurai Magazine」の水曜版と金曜版に相当し、それぞれ木曜と土曜の発行となります。
 したがいまして、バックナンバーについては、7月発行分のうち水曜と金曜のものがそのままバックナンバーとなりますので、ご利用ください。


 さて、本日の内容は「目的と目標」です。
 いたって初歩的、常識的なものと思われるかもしれませんね。
 しかし、最も重要な項目ですので、皆さんの注意を喚起しておかないわけにはいきません。
 今しばらく基本的な内容が続くかもしれませんが、どうか焦らず、じっくり腰を据えておつきあいください。


          ■ Index ■

           --目的と目標--

           1 目的
           2 目標



1 目的

 戦略とは、目的を達成するために合理を追求するものですから、当然、そこには立脚すべき目的というものがあるはずです。目的をもたない戦略というものは、間違いであるというよりも、そんなものは存在し得ないはずですね。
 しかし、目的を見失う、、、ということは往々にして陥る過ちです。

 目的は何より最初にくるものですが、二つの着意事項があります。

 ○ 正しい目的を設定すること
 ○ 目的を見失わないこと

 何より、目的が正しく設定されていなければ、その後の努力は全て無駄となるどころか、場合によっては命取りとなります。

 極言すると、リーダーの仕事とは目的を示すことただ一つであるとも言えるのです。リーダーシップは目的を示すことであり、マネージメントは目的を実現することです。

 歴史の上には、組織をマネージメントする能力に全く欠けていながら、リーダーとして名を残すひとがいます。国家や組織の将来を正しく見据え、進むべき道を指し示すことさえできれば、それだけでも彼は立派なリーダーであるといえるくらいです。

 多くの組織において、指揮官が日頃のんびりと構えていても、スタッフだけで仕事は順調に進み、あたかも指揮官がいてもいなくても同じであるかのような状態に見えることがあります。
 ところが、突発的に特異な出来事が起こったとき、大きな環境の変化があったとき、スタッフは指揮官の顔を見ます。

 これは、「リーダーの仕事は正しい目的を示すことにある」ということを示しています。明確な目的を設定することができれば、あとは優秀な部下マネージャーがいれば組織は正しく進むものです。もちろん、すぐれたリーダーは同時にすぐれたマネージャーであることも多いですが。
 しかしなお、リーダーにとって最大の任務は、目的を設定するということにあります。

 目的を設定したなら、あらゆる思考と行動において、その目的を忘れたり見失ったりしてはなりません。戦略発想の第一義は、すべてを目的中心に行うことです。「目的中心」この言葉を忘れないで下さい。

 戦略を詳細に構成していく中で、あるいは変転めまぐるしい状況の中で、ともすると本来の目的意識を失ってしまうことが多いものです。これは、絶対にいけません。最低最悪の状態であると考えて下さい。何を考えるときにも、必ず頭の中で目的をいうものを反芻する習慣をつけて下さい。それで救われることがどれほど多いかは、試していただければきっとおわかりいただけるでしょう。

 「目的を見失うな」というと、あたかも計画の変更を戒めるためにも、との印象があるかもしれませんが、そうではありません。

 状況に応じて臨機応変の柔軟な対応をするためにも、確固とした目的意識が重要なのです。人生においても言えることですが、決して動かない中心がひとつあるからこそ、常に柔軟に変化してゆくことができるのです。
 戦略においても、目的意識が乏しいが故に、既存の戦略計画に杓子定規に拘って、柔軟な変化を拒絶し、組織を敗北させてしまうことになるものです。
 (スティーブン・R・コヴィー氏が「原則に忠実、計画は柔軟」というよい言葉を言っています。)


2 目標

 目的と目標のニュアンスの違いについてはご存知のことでしょう。が、しかし実際にそれをしっかり意識して使い分けているでしょうか?

 目標とは、目的に至る手段であって、あくまでも目的達成のための前進目標です。ですから、このような注意事項がでてきます。

 ○ 目的と目標を混同しないこと
 ○ 目標を軽視して目的をつかもうとしないこと
 ○ 目的を忘れて目標に拘らないこと(本末転倒→無駄、ズレ、硬直)

 上部組織は、その目的を達成するために下部組織に対して目標を割り当て、これの達成を命令します。このとき、この下部組織にとっては、この目標が自らの目的となります。そしてさらにそれをブレイクダウンして、より小さな目標をつくることになるでしょう。

 正しい目的を見つけ、掲げること、そしてそれを実現するために、正しい目標を設定すること、これが戦略発想の第一です。

 よく、「努力目標」という言葉を耳にしますが、私はこのような用語の使用自体をお薦めできません。そのニュアンス的に意味するところは理解できますし、実際にはそういう表現による機微があることも認めますが、その言葉が無意識に与える悪影響を勘案すると、デメリットが遥かにメリットを上回るものと思います。

 指揮官の与える目標とは、必達のものでなくてはなりません。「あわよくば」というものを目標と呼んではなりません。
 もし、あなたが与えた指示を、自分の部課に持ち帰ってこれを「努力目標」的に部下に提示するような者があれば、これは到底看過し得ない由々しき状態です。

 また、リーダー自身の態度も重要です。
 それが目標なのかそうでないのか、これを曖昧に示してはなりません。日頃から、それを明確に区分して話す習慣をつけておかなければ、組織全体が「目標」というものに鈍感になってしまいます。

 そして目標意識を組織に浸透させるには、適切な目標設定というものが重要です。
 まず、その目標が目的に与える効果性はいうまでもありませんが、実現可能性というものが適切に見積もられていなければなりません。明らかに困難の度合いが強く、可能性の乏しいものを目標として与えることが続くと、組織はそれに慣れてしまい、目標の不達成に違和感を持たなくなります。

 この目標の与え方というところに、リーダーのセンスが現れます。進捗度の高い目標であり、かつ少しの背伸びで達成できる目標は、部下を育てもし、達成感を十分に味わわせることもできます。

 もちろん目標は、何も下部組織に割り当てるために設定するものではありませんが、いささか説明がややこしくなってしまいました。
 今回は再度、目的・目標意識というものを頭の中心に据える習慣を意識してみてください。

 「そもそもの目的はなんだ?」、です。


□戦略入門
□http://www.aurora.dti.ne.jp/~rainy
posted by Shu UETA at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦略戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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