2004年10月02日

アルカーイダ日本攻撃呼びかけ

 アルカーイダ幹部による、日本攻撃呼びかけとのニュースが、多少耳目を騒がせている。

 「日本攻撃」を呼び掛け アルカーイダナンバー2のザワヒリ副官

 正確には、日本攻撃を呼びかけるというよりは、攻撃を呼びかける対象国の中に日本も含まれている、ということだが、
 さて、これで日本の危険度はあがるのだろうか…


 当該記事の概要は、
 
  •  共同通信
  •  中東の衛星テレビ、アルジャジーラ、1日
  •  国際テロ組織アルカーイダのナンバー2、ザワヒリ副官とされる人物がイスラム教徒の若者に対し、世界各地で日本や米英両国などの関連施設を攻撃するよう呼び掛けた録音テープを放送
  •  日米英が「アフガニスタンやイラク、(ロシアの)チェチェン共和国で占領軍に参加している」ことを攻撃の理由に挙げ、このほか韓国やオーストラリア、フランス、ポーランド、ノルウェーも攻撃対象として名指し
  •  声明は「イスラム世界は占領の時代に入った」とし「エジプトやアラビア半島の諸国が占領されるまで待つべきではない」と述べ、イスラム教徒の若者に直ちに抵抗運動に参加するよう呼び掛けた。


 当該記事にもある通り、昨年の段階で、既にビンラーディン氏は日本も攻撃対象になり得ると警告していたが、幸いにして現実には未だそうした動きは表面化していない。
 その警告が報道された際も、実は個人的にはどちらかというと楽観していたといえるかもしれない。

 おおよその理由としては、テロリストのメンタリティとして、日本はいわば彼らの敵の総本山ではなく、お先棒担ぎでしかない、したがって命懸けの聖戦に従事したとて到底大金星とはなり得ない。どちらかというと、命を賭けるには些か"しょぼい"相手とも見える。

 もうひとつは、そこまでに彼らが行ってきた攻撃の事跡からして、少なくともここまでの時点で、彼らの戦略目標とは、敵の策源に対する攻撃により、その意志を屈服させることにあるように見えたからだ。

 基本的にテロという手段は、相手を物理的に戦闘不能にするよりも、相手の心理を攻撃し、その意志を屈服させるかあるいは戦闘継続意欲を喪失させる手段であるが、彼らの敵の策源を米英と把握し、この大元の意志を屈服させずして勝利はないと考えているように見えた(あくまでもアルカーイダは)。

 もう一点を加えるとすれば、これは多分に楽観に過ぎるきらいもあるものの、これも彼らムスリムのメンタリティとして、ヨーロッパ諸国に対する憎悪を同じ程度に日本に対して抱きにくいのではないか、という憶測もあった。

 さて、アルカーイダのしかるべき立場にある人間から今回このような呼びかけもあった上で、日本に対する脅威の度合いはどうだろうか。

 先に述べた事項にそって見ると、
 まず、今回も依然として列国の中の一国に数えられているに過ぎない点からすると、やはり多分にボランティアな個々人のメンタリティ的には日本はそう自らの誉れに資するところが大きい対象ではなく、かつ憎悪の度合いも比較的薄いかもしれない(軽蔑しこそすれ)。

 しかし問題は、戦略的な傾向である。彼らが、その方針を従来のような策源国集中に維持するのか、あるいは、むしろ枝葉を攻撃屈服させて米を孤立させていく法をとるのか。
 ちなみに私なら、やや間接アプローチ的に、アルカーイダに対する米国の同盟諸国を徹底的に攻撃する。
 だが、どうも私には、彼らが従来の方針から容易に離れられるとも思えない。

 まだ十分理詰めに論理的な検討をしていないが、こうした感触で、依然として楽観している(アルカーイダに関して、つまり国内へのテロ等は。イラク国内はまた別)。
 (もちろん一国民の立場で楽観しているだけで、政府としては打てるだけの手を打っていかねばならないが)

 さて、日本のことだけを語るのではなく、国際社会として考えるならば、私は、イスラム法学者の国際会議を設定してはどうかと考えている。

 先に、「聖戦」という言葉を使ったが、過激派とはいえ、その命を賭け得る精神的根拠は、それが聖戦であればこそというところが大きいのではないだろうか。
 しかし、聖戦を認定することができるのは、イスラム社会においてイスラム法学者だけである。イスラム法学者の認定しない戦闘は聖戦ではなく、聖戦参加者になら与えられるはずのアラーの恩恵もないことになっている。

 これまでのところ、こうした米国への戦いが聖戦であると認定した権威ある法学者はいないようだが、しかし、積極的にその旨を発信している風でもない。
 そこでイスラム諸国の権威ある法学者による会議を催し、これが聖戦ではないことを声明してはどうだろうか。気休め程度の効果であるとしても。(逆に、検討の結果聖戦と認め得るなどと声明されたらえらいことになるが… ^^;)
 

 こうした会議を米英の肝いりで催せば傀儡的な印象をぬぐえないので、しかるべき第三国、米国よりの諸国の中では日本は比較的ましな国とは思うが、イラク派兵のこともあり、まだちょっと厳しいかもしれない。とは言え、水面下である程度のお膳立てをすることはできるのではないか。
 要すれば、さらにこの会議を恒常的な定期会議にしてもよいかもしれない。

 などということを、今回の報道に際し、雑多に考えていた。^^;)
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posted by Shu UETA at 19:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 天下-安全保障・外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アルカイダは、東西冷戦時代に続く、イスラム対非イスラムの二極化をねらってるんですかね。もしそうであれば、日本はその構造は避けないとまずいですね。もっとも、中東の石油に依存している国が多く、そう簡単には二極化は進まないとは思うのですが。
この記事を拝見させて頂いたときにそう思って、考えをまとめようとしたのですが、未だにまとまらずに、コメントとしてつけさせて頂きました(^-^;
Posted by toybox2004 at 2004年10月06日 12:41
> toybox2004さん

 一体アルカイダがどれほどの戦略性をもって動いているか、なかなか読めませんね。
 イスラムvs非イスラムという構図は、仰るとおり実現しにくいのではないかと思いますが、そうした潮流となれば、日本は、せっかくの、おそらくイスラムから見ても中途半端な位置付けを無駄にせず、第三極の位置を確保するよう動くべきだと思います。
 しかしそうした二極化創造の困難を思えば、私がアルカイダの立場なら、むしろ、親米vs非親米(反米より緩く)の線、言い換えれば米孤立化を狙いますね。そうすると目下の状況では、うまくすると、米英日くらいまで絞り込める可能性が… この際、日本は米と一蓮托生を選ぶ、というよりは事態を認識しないまま気づけばそうなっている可能性もありますね…^^;)
 声明からすると、少なくとも現在そうした構想ではないようで助かりますけど。^^)
 またお考えがまとまったら、記事にされてもいかがですか。楽しみにしています。^^)
Posted by Shu at 2004年10月06日 19:58
防衛をアメリカに依存した状況、また日米同盟があるかぎり、日本のとりうる選択肢は少なそうな気がしますが、そういった状況の中で日本の独自の立場をつらぬく戦略や、外交スキルがあるかというと、これまた不安ではあります(^-^;
Shuさんの別記事で日本自主防衛という話がありましたが、集団自衛権の行使も含めて、それらが実現すると戦略・戦術にも幅が出てくるとは思います。

記事にすべきToDoがたまっております(苦笑
Posted by toybox2004 at 2004年10月07日 00:58
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