2005年08月15日

世論調査:戦争の可能性?


戦争の評価などについて、毎日新聞が独自の世論調査結果を発表している。

 世論調査:「間違った戦争」43% 「やむなし」29%

 まあ、なかなか興味深い世論調査で面白かったのだが、
 「近い将来に日本が外国と戦争をする可能性」という調査結果に対する同社記者のコメントに、どうも戦後の日本人の「平和惚け」的といおうか知的怠惰というおうか、といった空気を感じた。


 要するに僕のこの記事は、この世論調査の主たる結果を論評するのではない(それは皆さん個々にどうぞ ^^)
 ではなくて、毎日記者のもらしている感慨に対する話。

 記者いわく、

  また、近い将来に日本が外国と戦争する可能性があると思うかとの設問では、「ないと思う」が73%と高率だったものの、「あると思う」も22%あった。特に20代では「あると思う」が34%を占め、年代別で唯一3割を超えた。戦後日本の出発点が戦争との決別だったにもかかわらず、2割以上が戦争の可能性を認識していることは、60年間の変化であるようだ。


 電話調査なので、一体どのように質問しているのか定かではないが、
 しかし、「日本が外国と戦争する可能性」とは、「日本が他国を武力攻撃する」ということと同義ではあるまい。
 日本が侵略を受けるケースだって含まれるだろう。侵略を受けてなおこちらが反撃はしないという場合とて含まれないとは言えないだろう。
 少なくとも結果発表記事では、このあたりの弁別は全くできない。

 「戦後日本の出発点が戦争との決別だったにもかかわらず、2割以上が戦争の可能性を認識していることは、60年間の変化であるようだ」などと感慨しているが、戦後の出発において日米安保をわが国防衛の基調に据えたように、むしろ戦争を知っている戦後の日本人のほうが余程、戦争に巻き込まれる危険性ということから顔を背けはしなかったのではないか。
 あるいはすぐ近傍で朝鮮戦争が戦われている最中において、健全な判断力を持つ日本人が、自らに火の粉がふりかかる可能性を果たして全く度外視し得ただろうか。

 記者の感慨は、さながら、「こちらが戦争という手段を放棄してさえいれば、あるいは平和主義に徹してさえいれば、誰からも攻撃されない」あるいは「もしくは攻撃されても為すに任せて反撃しなければそれは戦争ではない」とでもいったような戦後日本の一部での異様な認識を前提にした上で漏らされる感慨のようにも感じられる。

 もし僕がこの調査を受けていたら、「近い将来に日本が外国と戦争をする可能性」と訊かれれば、それは日本が侵略されて防衛することも含むのか、と尋ねるだろう。
 実際この調査がそれに何と答えて調査しているのかはわからない。


 ちなみについでだが、より主題らしい、さきの戦争が「間違った戦争」であったか「やむを得ない戦争」であったかという設問についても、これは実に首をひねらされないだろうか? ^^;)

 「間違った戦争」(あるいは反対概念として「間違っていない」=「正しい」戦争も)などという概念がまたきわめて曖昧であるし、
 また、「間違っていた」が故に「やむを得なかった」と考えるケースもあるのであって、「間違っていた」か「やむを得なかった」か選択など、なんともいえない設問だ。^^;)


 とはいえ、そうしたよくわからない点についてはさまざまなケースを想定しつつ、しかしこの調査自体はそれなりにおもしろく(興味深く)はある。


posted by Shu UETA at 10:49| Comment(6) | TrackBack(0) | 天下-その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「あの戦争を遂行しなければ、今、日本はどうなっていたか」というアンケートをとってほしい気もします。
歴史にifは禁物ですが、当時の世代が何を考えて戦争に行ったのかを考えるきっかけ、あるいは「戦争は悪」という思考停止から一歩進めるきかっけになるのではないかと思います。
実際、アンケートをとったら「今と同じ繁栄がある」って回答が多そうな気がしてならないのですが。
Posted by toybox at 2005年08月16日 20:41
> toyboxさん

 おお、たしかに面白いっ
 「問い」を立てるということ自体が思考のはじまりですからね。問われてはじめて考えるということもあるわけで。

 しかし…そんな問い自体、大手メディアでは発することに既に躊躇がありそうですね、頑張ってもぎりぎり産経ってところでしょうか ^^;)
Posted by Shu at 2005年08月16日 20:59
あの戦争を遂行しなければ・・・
とちょっと考えてみると、
ハルノートを全面受諾すれば、アメリカとの戦争は回避できたか。
少なくとも真珠湾攻撃はなかったでしょう。
しかし、当時の植民地を全て放棄するとなると、
恐らく、日本国内は戦争肯定派と否定派に別れて内乱、内戦状態へ突入。その混乱に乗じて、ロシア、中国、アメリカの利権争いが日本で発生・・・結果は・・・
国内内乱が起こらなかったとしても、アメリカは何らかの手段(日本の大幅縮小要求とか)で結果的に戦争が起こるようにしたでしょうね。開戦当初の欧州戦況を顧みれば、ドイツが劣勢になるまでは相当時間がありますから。
そう考えると、あの時戦争を決断したからこそ、今の日本の繁栄があるのだと、真剣に思ってます。少なくとも日本国民として誇りをもつためには、このような立場で歴史教育をする必要があるのではないでしょうか。他国に何と言われようとも。国を憂い、愛する心なくして国家の発展などありえない。
Posted by imaichi at 2005年08月17日 07:42
> imaichi

 おわっ
 今頃ベルギーあたり観光中だったのではっ?
 コメントが来てびっくりっ ははは
 まさか携帯からこんなに書いてくれてるってわけでは…ないよね。

 閑話休題

 僕も、大筋同意です。
 まあtoyboxさんも仰るとおり、歴史にifはないとはいいますが、しかし実際、真剣に考えれば考えるほど、当時の米国の戦略と政権の気魄を考えるならば、結局どうしても開戦を避け得ない状況に追い込まれていただろうと思わざるを得ませんね、僕も。かなり上等な外交手腕がなければ。
 現実の歴史においてさえ、既に日本は譲歩に譲歩を重ねていましたからね。
 当時の国際慣習というか常識観からすると、奇しくも戦後にパール氏が指摘したとおり、それで開戦しない国などないというほどのところまで、米国の無茶は至っていましたしね。
 かたや何としても戦争したくてしかたないのですから、到底まともに外交相手たり得るはずもなく、かの国は実に始末に負えない国ですね(ある意味、今日まで一貫してそうした米国の性格は変わらないともいえますが ^^;)

 しいてあげれば、かなり遡って、リットン調査団の国連報告の際に、わずかながらチャンスはあったかもしれませんが。
 (僕自身は、リットン報告は、きわめて英国的に当事者双方の顔を立てつつ微妙なサインを日本に送っていたものと思っています。日本はその微妙なサインを読み切れず、正論で過剰反応しましたが)
 もっともそれも後から眺めて言えることではあるのかもしれませんけどね。

 もっとも、とはいえ、toyboxさんの仰るとおり、そうした問いを発することで、さまざまに考えてもらいたい問題ではありますよね。
 開戦回避し得たかどうかは別として、仮に回避してどうだったか、またその回避とは屈従であるのか別の奇策であるのか、屈従であればなおのことどのような今日を招いていただろうか、と。
Posted by Shu at 2005年08月17日 19:16
今、ベルギーのブルジェという町に来てます。海外ローミングサービス使ってます。ホテルで接続してるので、支払いが怖いけど。

>結局どうしても開戦を避け得ない状況に追い込ま>れていただろうと思わざるを得ませんね、僕も。>かなり上等な外交手腕がなければ。

最近(といっても2〜3年前)米国で発見された資料(勿論、1次資料)によれば、ハルノートは当初、日本がどうにか妥協できるレベルの要求であったそうです(米国とて欧州と太平洋の2正面作戦は避けたいのは当然。詳しい内容は忘れました、ごめん)。これは。もちろん日本の外交努力の結果ですが、この後がまずい。当時の国際情勢からすれば、米国が対日本戦を決意することをなりふりかまわず希望する国、中国の強力な外交努力によってハルノートは対日参戦用に覆されてしまったということです。
私が言いたいのは、中国との外交戦争で初戦敗退し、その結果としてあのハルノートが現存し、参戦に至ったという事実です。外務省にしても政治家にしてもこの現実をよく認識してもらいたいものです。
しかしながら、初戦の外交戦争において中国の企図を見事看破し、あのハルノートが存在しなかったとしても、アジアに突出した勢力を嫌う米国とは結局戦争という結果はさけられなかったということにはかわりありませんけどね。
Posted by imaichi at 2005年08月18日 08:58
> imaichi

> ホテルで接続してるので、支払いが怖いけど

 おいおい、無理しないようにね。記事はちゃんとずっとあるので。^^;)

 そうだよね〜
 あの戦争は、前段の対中戦略と対米戦略の二段構成だから、いよいよ話も込み入ってくるんだよなあ。
 しかも、妙にタブー視ばかりが先にたち、あまり冷静に研究、反省もされてきていないし。

> 外務省にしても政治家にしてもこの現実をよく認識してもらいたい

 まったく。
Posted by Shu at 2005年08月18日 21:19
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