2004年08月15日

中国を増長させる「穏便な態度」

 本日付け産経朝刊、「緯度経度」欄に古森氏による標題の記事があった。
 ぜひ供覧に付したいところであったが、web上では有料ページにしか記事がないので、リンクを示すなどすることができない。
 
 長年にわたり、中国政府が自国民に対し、学校教育はもとより、新聞雑誌、テレビ、映画などあらゆるメディアを通じて、反日教育を徹底させてきたことは周知のことであるが、これに鈍感な日本政府及び一般の日本人に比べ、意外なことに米国において、その危険性が頻繁に指摘されているという。
 
 
 記事に紹介されていた例は、ニューヨーク・タイムズの記事、またクリントン政権時に国務次官補代理として対中政策を担当したスーザン・シャーク カリフォルニア大教授の論文、ピーター・グリース コロラド大助教授の著作であるが、いずれも、中国当局が異常とも思える手段で日本への憎悪を植え付ける方策を長年徹底していることを示し、その動機を、統治の正当性への不安、中国を団結させるイデオロギーとしての利用と分析し、その成果としての過激な反日ナショナリズムをきわめて危険なものとして危惧している(「中国政府が若い自国民に植え付けた感情的ナショナリズムは核兵器の増強よりも危険」ニューヨーク・タイムズ)。
 またグリース助教授は、中国共産党の正当性を誇示するための反日ナショナリズムは日本からの譲歩を獲得する手段にも使われるとして、過去の例を引いて説明している。
 これら米国の識者はみな、日本が中国に対し、この種の反日教育や宣伝をやめさせるよう積極的に抗議すべきと提案しているとも。
 
 中国の小学校低学年から教科書を埋める事実非事実を問わない日本軍残虐行為の記述、あらゆるメディアを通じて行われる反日宣伝に比し、戦後日本の平和指向や平和憲法、また中国に対する莫大なODA供与については、小中高教科書はもちろん、新聞等メディアにおいても一切国民に知らせていないということは、既に日本においても広く周知されているところであるが、それでもなお、日本国民は一般的にそのような点にあまり危機感を抱かず、例えば先日のサッカー・アジアカップにおける中国国民の愚行についても、中国側を弁護し、日本側の姿勢あるいは日本人の性質などさまざまなに反省してみせる者が多いような様子である。
 国民がこのような様子なので、同じくぼんやりした政治家を責めるわけにもいかないのかもしれない。ある意味、それが民意の反映なのだろうから…
 記事には次のようなおまけ付きだった。
 こんな現状にわが日本政府はどう対応しているのか。一時帰国の際、フジテレビの「報道2001」に招かれ、川口順子外相と同席した機会に同外相が中国の反日などほとんど懸念していない様子を目の当たりにみて唖然とした。川口外相は明らかに今回の反日行動をスポーツの次元でのごく一部の現象としかみず、中国当局の警備にむしろ満足だというのである。
 同外相は日本の国旗が焼かれ、国歌吹奏が妨げられ、日本公使の車の窓ガラスが割られるという深刻な事態も他国の出来事であるかのように淡々と語った。(中略)とにかく過小に、穏便に、なにも問題はないかのごとく、という川口外相の態度に象徴される対中姿勢こそが中国を増長させ、反日を正当化させ、長期的には日中関係を悪化させることだけは明言できる。
 このような点に思いを致していない人々との議論はどうしても平行線になるので、原則として、私はアジアカップにおける中国観客の愚行に関する議論には一切参加していない。
 しかし乗りかけた船として、私のスタンスを述べておくと、
  • アジアカップでの中国観客の態度は理由理屈以前に常識として愚行意外の何ものでもない
  • 国際的通念に照らしても、上記行為を弁護する余地は全くない
  • 日本人は、公憤を覚えて当然であり、選手、サポーター、在中邦人、職員のためにも厳重に抗議するべきであった。
  • かつこれは根の深い問題であり、アジアカップ云々ではなく、米国に指摘されるまでもなく安全保障上の問題として今後厳しく対策していく必要がある
  • また将来に亘る日中友好の大きな妨げにもなり、早めに対処しなければ、一朝一夕に拭い去れないだけの負の蓄積が既になされている(私は将来の日中友好を推進する立場だ)
  • 中国国民自体は政府の意図により誘導されている面が強い。中国政府が国民に知らせないのならば、日本が何らかの発信態勢を取れないものかと思うばかりである(過去の参考記事)が、過去記事の提案も、日本側に反省すべき点があると考えてのことではない。相手の非道を怒っていても何も変わらない、我が方として打てる手は打たねばということである。
 あまり気の進まないテーマではあったが、米国においてこそ懸念の声が頻出しているとの記事に日本人として多少恥ずかしくも思い、記事紹介方々投稿した。
 


posted by Shu UETA at 09:01| Comment(11) | TrackBack(0) | 天下-安全保障・外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
友人がサッカー好きになったので、よくよく聞いてみると、
日本国内の試合でも、中国人に負けないくらい下品な応援があって、その下品さは、悪いことではなく、お互いが感情的にスッキリすることみたいだよ。
相撲だって、座布団が乱舞するし、また、確かその座布団にもファンは別にお金をだしていたはず?

反日については…
「剣を抜け!」と侍にいわれたら、必ず剣を抜き返さなくてもいい時代になったわけだけど、剣を抜かない人間が、裏でグチグチ言うのは卑怯だと思う。
日本国内での外国人への差別がなくなれば、たぶん、それが友好の近道。口コミの力はスゴイし。

そうそう、韓国の剣道って、ご存知?
私は、詳しくはないけど、
映画「猟奇的な彼女」では、韓国の剣道場と練習風景がでてくる。
そして、ヒロインはどうも有段者という役柄らしい。
Posted by 野猫 at 2004年08月15日 09:57
> 野猫さん

う〜ん…
どうも話の対象がかみ合ってないのかも。
相手はあくまでも国家戦略で計画的に実施しているのでね…政府間レベルのことを述べたまで。
国民同士の交流、つき合いの話ではない。が、放置しておくとやがてはその国民同士の交流にも悪影響が出るだろう、ってこと。

それに、アジアカップの場合は、すっきりするから良いって次元ではないので ^^;)
なんせ官用車を襲うんだからね…(当局の警備があって、やっとあれくらいで済んだ)
下品さなんてどうでもいいけど、暴徒はね…、と僕は思うけど。いくらすっきりするからといって。そう考えない人がいることが不思議…

ま、この話は止しにして、と。 ^^)

韓国にも剣道はあります。古流派(日本の)を伝えている人もいます。
Posted by Shu at 2004年08月15日 13:18
野猫様

ゲーム中での野次やブーイングは問題になってないのでは?サッカーに限らず野球などの試合でもよく見られる。

剣を抜かない人間とは、ブログで意見を主張している方々の事か?ペンも剣の一つだろう。政治家を批判したら、政治家になってから批判しろ、それまでは口をつぐんでいろというのと同じ事ではないか。

反日の原因は在日外国人への差別なのか。合理的な理由もなく、差別があるなら是正すべきだろうが、それを解消したからと言って、言論統制している、国策として反日をすすめている国において、反日がなくなるわけではなかろう。
そもそも反日国家と友好になる必要すら感じない。国対国のつきあいにおいて友好などは手段であって目的ではないと考える。必ずしも友好な状態でなくても、大人と大人であればつきあえる。
個人と個人の間で親交を深めるのは、もちろんかまわないが。

韓国剣道の話は、元記事になんか関係ある?
Posted by toybox2004 at 2004年08月15日 13:43
>Shuさん

Shuさんのコメントを読む前に書き込んでしまいました。私のコメント、不適切でしたら削除してくださいまし。Shuさんと言いたいことは一緒なので、問題ありません
Posted by toybox2004 at 2004年08月15日 14:46
私もtoybox2004さんとShuさんのご意見に同意します。
野猫さんの話はちょっと次元が違うと思います。
そもそも、言論の自由のない全体主義国家の世界と、我々の世界を同一視してはいけません。
彼らの意志は国家の意思なのです。
Posted by spice boy at 2004年08月15日 15:42
>韓国にも剣道はあります。古流派(日本の)を伝えている人もいます。

これは、いい話だよね。あまり知られていないし。
中国で、剣道を教えている人はいないのかしら。

具体的に接点があるところから、考えたり、交流したりしていくのが近道だと思うよ。

小野清子国家公安委員会委員長のHPにいくと、どうも合気道をやられているみたいだし、 軍恩議員協議会 事務局長 、それと、笹川平和財団笹川日中友好基金 運営委員会 と、ほとんどがスポーツ関係が多数。で、政府間レベルのことを動かすのも、指示している人たちとの接点の集りが、反映されていくのだから。

サッカーはサッカーで政府に影響がある団体が政府に問い掛けることと、民間レベルでも、サッカーに直接関係がある人たちが意見行動した方がいいと思う。

最後に、私の話がわかりずらかったのなら、ごめんなさい。ただ、日中でも国際社会でも、話す言葉が違えば、話がそれたりわかりずらかったりすることは現実問題で、どのようにそこを言葉の技術で埋められるかも私は大切に考えている。同じ日本人同士でも溝ができるのだから、その溝を埋めることができる人の方が優れているよね。
Posted by 野猫 at 2004年08月15日 16:33
あと、私は政府が穏便な態度をとった方がいいとは考えていない。政府に対して。政府は、どこの国に対しても穏便な態度をとっている。アメリカに対しても。本当に正しいことなら、主張した方がいい。これは、アメリカに対しても、アメリカ側もいいだしていることでもある。政府に正しいことを主張する技術が欠けていて、穏便な態度で結局、相手側を怒らせているよね。

私自身は、平素は穏便な態度だけど、実力行使するときはハッキリ主張するし説明する。また、一番効果的な方法を選ぶ。そうしてないと生活していけないし。それに、もっとも影響が与えることはできるのは、身近な人たちだし。
Posted by 野猫 at 2004年08月15日 16:41
そうだ、ついでに、ロシアについても。ロシアの大統領は、柔道をとても高く評価しているとのこと。柔道にであわなかったら、それこそ、ゴロツキーのまま。あはは。

で、ここで、剣道がでてくる。日本には、伝統と歴史があるのだから、自信をもって世界に主張すればいいのだとおもうよ。サッカーはどちらかというと、新しすぎるし、中国にとっても同じ。世界への仲間入りの道具。日中間のサッカーの問題ではなく、世界の中での役割で主張するのがお互いのためになるね。

で、武道といえば、武士道。で、格闘家の前田明さんは、武士道をとても大切にしている。で、彼は在日韓国人なんだよね、たしか。で、韓国と剣道が結びついたわけだ、私は。それと、男女の溝を埋めるのが、映画「猟奇的な彼女」でもある。

気分を害された方は、あまり深く捕らえないでください。こんな感じなもので。あはは。
Posted by 野猫 at 2004年08月15日 16:58
 みなさん関心とコメント有難うございます。

 野猫さんも気を使って直截的な表現を避けていたようだし、かえって互いに論点(次元)が些か噛み合ってなかったかもしれませんね。
 ただでさえ端的を心掛けざるを得ない文字表現。
 本文はもとよりコメント書くにあたっても、ここが多少なりとも公共の目に触れる場であることが痛感され、理解しやすさ、誤解しにくい表現、端的さ…あらためて、
 身のひきしまる思いです。(←大泉さん風に > toyboxさん)(他のお二人はわからないですね、すみません)

(前田日明氏のことは非常によく知っています。ものの考え方が日本人らしくて親近感を覚えます > 野猫さん)
Posted by Shu at 2004年08月15日 18:47
前田さん、最近、登場しないから寂しいよね。ロシアとのパイプも太いし。

その前田さんを客観的というか右翼的というか評価されていたのが、一水会の鈴木邦雄(彦?)さんだね。

国政について語るのは、どこでもいいからベテランの人を師として仰いでいた方が見識も深まるし、直接組織に属すことができないなら、歴史上の尊敬できる人物を師として著作を呼んで思想形成をされる方が豊かになるはずなんだ。

たとえば、北一輝という人が2・26事件の責任をとらされて処刑された人。右翼でもあるし左翼でもある? で、本を読むだけではと、興味のついでに命日に寺にいったことがあるのね。もう10年前になるけど、追悼法要がしっかりされていて、ハイヤーが何台も止まっていたし、終って、出てきた人もみることもできた。目立たないところでも、思想は生きていることを実感したよ。で、私が感じた北一輝は、サッカーについては何も言わないと思う。私個人の感じ方だけど。
Posted by 野猫 at 2004年08月15日 20:23
> 野猫さん

 どうもサッカーに執着してるようですが、何度も言うとおりここではサッカーなんかではなく、もっと包括的なことを話しているのであって、
 故人の意図を勝手に忖度するのはどうかと思うけど、彼も(彼なればこそ)サッカーなんかどうでもよくて、中国政府の国策には大いに論を傾けると思う、僕は。

 もうよいでしょう、サッカーの話は… ^^;)

 また、気のせいか、見識を磨けと言わんばかりですが、自分と見解が異なるからといって相手の見識が劣っているんだということではないと思いますけどね。

 また別の折に仕切り直しましょう。 ^^)
Posted by Shu at 2004年08月15日 20:53
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