文中、氏は、決勝戦直前に反日的民族運動で知られる「愛国者同盟」や「中国民間保釣同盟」の関係者に会って話したことにも触れている。
両組織のトップがいずれも重慶出身であるため、競技場での反日を煽った元締めかと氏は疑ったが、口々に、サッカー場での反日行為は彼らか組織したものではなく、あれは中国人の民意であると聞いたという。
また、それら組織の会員である青年に次のように真剣に問われたという。
「日本のアニメや製品は大好きなのに、釣魚島にせよ、日本はどうしていつも中国を恫喝ばかりするのか?」
日本人なら唖然として、それはそのままこちらがお返ししたい、と思うような意見であるが、
「よって立つ知識が違い、両国の信頼関係が築かれていないことを実感した」と氏は述べ、「決して中国人はわからずやではないはずだ、彼らは『知らされていない』のである」と続けている。
さらに、川口外相に対し、「本来中国に対して発言すべきは、正しい日本知識を正直に流す『日本情報の自由化』を求めることではなないのか」と問いかけ、
「両国の民衆の憎しみの連鎖を断ち切るためにも、中国で固定化された『悪しき日本人』のイメージを打破するためにも、最も大切なのは『日本に関する情報交換と言論の自由』なのだ」と締めくくっている。
しかしながら今日までのところ、反日を核とした愛国教育は、国家統治のための中国指導部の大方針であり、上記のように申し入れたからといって受け入れられるわけではない。
かつて「日本からの情報発信」ということが声を大に言われた時期があったが、私はこの線での方策があるのではないかと考えている。
それは、主としてインターネットを介した、外国語による情報発信であり、中国語や韓国語によるものである。
この際、政府の発表や政府企画のニュースサイトなどは所詮官製の国際宣伝戦略のようにとらえられがちなものでもあり、そうではなく、新聞社等の民間メディアによって行われたい。
今日インターネットは北朝鮮でさえ情報管制に手を焼くといわれるほどに国境を越えた情報浸透力を持つが、庶民が気軽にアクセスするには、日本語はもちろん、英語でもやや敷居が高い。
情報戦略と受け取られることはかえってマイナスであり、たとえば中国向けのコンテンツを別に作成するということではなく、新聞であれば英語版ページがあるように、ただ中国語に翻訳されたページを準備するのがよいだろう。
産経新聞のような気概のある新聞社が自発的に取り組んでくれれば日本にとってはありがたいことだが、実際にはかなりの手間と労力(=当然コストも)が必要でもあり、たとえば産経新聞の場合は英文ページすら無いのが現状である。
たしかに、日経のように海外にも多数の読者をもつようなメディア以外は、英文ページの準備すら経営上のメリットはあまりないだろう。
国家として民間企業にそれを無理強いすることはできないのだから、何らかの助成もしくは優遇策を伴った施策を起こしたい。
相互理解、交流促進の一助という名目は立つ。
むろん新聞社に限らずさまざまなメディアを対象にできればなお良い。
あるいは、新聞社をはじめ各メディアが自前でこれを行わなくとも、NPOのような組織でこれを代行できないだろうか。
もう少し研究してみたい。
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中国人と日本人とのコミュニケーションギャップについて連載されている。今回は、コメントが荒れた。私もまきこまれたし。
私からすると、日本人の方がコミュニケーションの能力が低い。原始的な感情表現さえ押し殺しているところがあるから、感情表現で心を伝え合うのが一般的な社会では、かなりの摩擦になる。怒っているのか喜んでいるのかが、日本人は、日本人同士でもわかりずらい。
古来からある日本の場合は、礼法があって、礼法をわざと乱して、怒っていることを伝えたり、場を柔らかくしたりできたし、それをよく理解していれば、礼法を感情に置きかえて使うことも難しくないはずなんだよね。
アジア杯での中国人サポーターの無礼を怒ることは正しいことなんだけど、矛先が違いすぎる。それに怒る分量のとりかたも悪い。一番怒ってもいいのは、サッカー選手たち。しかし、彼らが怒らないなら、まわりの人間も忍耐するのが道理だと思うよ。コミュニケーションの第一は、当事者の考えや感じ方を優先してほしい。
あと、武道の先生のように、怒るときはしっかり怒るけど、終ったらケロっとしているよね。いつまでも怒りを引きずらない。コントロールできているんだよね。そうなれば、過ちを犯した方も謝りやすいし、反省につながる。