2004年07月26日

(名将言行録) 大隈重信 序言

「名将言行録」大隈重信による 序文 (再版にあたり)


 開国以来欧米の文物滔々として流入し来りしが、採長補短の能に富める我が国民は、能く其の英華を吸収して、現代の文明に応用した所が甚だ多いのである。然し利害相伴ふのは人事の通弊であって、其の短所は物質的文明の弊に流るゝの傾向を生じ、嘗て(かつて)封建時代に於て、祖先が死生の巷(ちまた)に出入りして益ゝ錬磨砥礪(れんまとれい)した所の、我が国民の特性たる至誠忠愛、克己忍耐、犠牲献身、名誉廉恥といふが如き精神的美徳は、次第に銷沈(しょうちん)せんとするの趨勢がある。是れは我が国運興隆の今日、大いに憂ふべきことである。然るに本書の如き有益なるものが、再び飜刻(ほんこく)せられるのは、最も時弊に適中したことで、眠れる国民性を喚起し、国家の元氣を鼓舞するに少なからざる効果のあることと思はれて、我輩の大いに喜ぶ所である。

 明治四十二年十一月
                伯 爵    大 隈 重 信


posted by Shu UETA at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 名将言行録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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