2004年08月03日

武術即生活

 合気道養神館館長、井上強一師は、
 「合気即生活という言葉があります。何も道場で投げたり押さえたりするのが合気道ではありません。生活の中で人とどう接していくか、それが自体が合気道なのです。」
 と語っている。

 私自身は合気道をたしなんではいないが、武術というもの全般に、井上師のこの話はあてはまることだろうと思う。

 日野道場の日野晃師もやはり、言葉は違うが、「人と人が向かいあうこと」、「同調」、「意識の感応」の重要性を常から説いている。

 勝海舟は、氷川清話において、江戸開城をはじめ幕末動乱期の自らの活躍を、すべては剣の呼吸であったと語っている、生涯で真剣に取り組んだのは剣術稽古だけであった、と。

 合気道では、「対すれば相和す」という。

 武術は必ず相手を想定しているのであって、単に自らの技の切れを磨くだけで勝利が約束されるのではない。相手と向かい合い、相手の呼吸、動きを読み、これに乗り勝つのでなくてはならない。
 これを平素から心において鍛練するとすれば、ここにパラドックスが生じる。それは、相手を倒すための修練によって、結局、人と正しく向き合い、相手と同調し、和する力を身につけていくということである。これは対人に限らず、周囲の状況に対しても同じである。

 日野師は、自分の正面にいる人とただしっかりと向き合うということが、たいていの人はできていないものだ、と言う。そして日野道場では、「武禅」と称して、「人と向かい合うこと」「自分と正対すること」「声を届けること」等の稽古をつけている。ここには、武術とは関係のない人が女性をはじめ多数参加しているという。
(日野道場の合宿には、個人的にも一度参加してみようと考えている)

 高岡英夫氏はかつて、単なる素振りにせよ、稽古を真剣にやった後は、その前にわだかまりのあった相手やキツイことを言ってしまった相手に対して申し訳なかったという気持ちがいつも心に浮かぶ、不思議だ、と言っていたが、このことは、自分自身もいつも感じている。不思議である。このことも、武術が追求する何かと関係あるのだろうか。

 自分はもとより、他人に対し、あるいは状況に対し、真に向き合い、同調・感応する意識というのはまだまだ模索中だが、平素の稽古だけではなく、生活の中でしっかりと意識していきたい。


posted by Shu UETA at 23:02| Comment(6) | TrackBack(0) | 武術/身体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
故人の総理大臣でもあった小渕さんは、たしか合気道の有段者だったはず。

ブッチフォンで、有名人にアポなしで電話をかけていたことに対する疑問が解けた感じがする。

あと、小渕さんアジアでは評価が高いらしい。首脳が視察しないような地域まで訪ねてまわって、そういう地域の豊かさに結びついているようなので。地味な総理大臣だったけど、最近の総理の中で、私の好感度は高い。総理としてというより、人として。
Posted by 野猫 at 2004年08月04日 08:45
小渕さんが合気道家だったとは知らなかった…
実は、(珍しく)すごく好きな政治家でした。一見のらりくらりだけど、芯のあるやわらかさ、譲らないところを守るために譲るところを譲る、かつそれなりの構想力を持っていて好感してただけに、他界された時は(これも珍しく)悲しかったのを覚えています。
Posted by Shu at 2004年08月04日 08:56
http://www.kantei.go.jp/jp/obutisouri/profile/index.html

あったあった。合気道は事実。↑
Posted by 野猫 at 2004年08月04日 09:15
ほんとだっ ^^)
Posted by Shu at 2004年08月04日 10:33
合気道で総選挙を見れば
http://www.anna.iwate-pu.ac.jp/~tokuhisa/watanabe/aikidou.htm

この人の意見もおもしろいよ。

トップページ
http://www.anna.iwate-pu.ac.jp/~tokuhisa/watanabe/top.html
Posted by 野猫 at 2004年08月04日 12:34
ほんと、たしかにおもしろいっ
政局事情には疎いので、勉強になる…
しかし、よっくこんなサイト知ってるなあ。
ありがとうっ
Posted by Shu at 2004年08月04日 16:12
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