2005年02月02日

Like Toy Soldiers


 僕は(おそらく想像されるだろうとおり)Hip-Hopをそう好きではない。^^;)
 が、ジャンルに捕らわれまいと志向するのもやはり僕であって、少なくともある程度の話題を呼んでいるモノ、コト、ヒトを無視するということはない。

 なかでも、僕はEminemは好きだ。(M&Mのチョコも好きだし ^^)
 好きというのは、音楽性も好きだし(Hip-Hopで僕が音楽性を感じる数少ないartistの一人だ)、artistを評するに評価要素であってはならないものだろうけれど、彼という人間が、あのような環境で育ちながら、よく人格を損なわなかったものだということにも、少なからず好感を持っている。(失礼な話ではあるが、映画「8 Mile」を観ればそう思わずにはいられなかった ^^;)

 彼の今のシングル、「Like Toy Soldiers」も気に入っている。
 楽曲的には、MARTIKAの「Toy Soldiers」をカヴァーしているのだが、うまい具合に良いセンスでアレンジしているし、詞も好きだ。

 Hip-Hopに通ではない僕ではあるが、「Like Toy Soldiers」は、Eminemの作品の中でもとりわけ気持ちよく感じて、何故だろうと考えていたのだが、昨夜、はたと思うことがあった。

 それは、歌が曲のリズムとかなりぴったりと合っているからかもしれない、そう思い当たった。
 少なくとも僕については、それがとりわけ心地よく聞こえる理由のひとつかもしれないな、と。

 vocalというのは、もちろん歌のメッセージを伝える意義もあるが、しかし楽曲としては、曲を構成する「音」のひとつだ。
 したがって、vocalにも当然、他の楽器との寄り添い具合がある。
 それは、もちろんハーモニーもあるが、それだけではなく、リズムということもある。

 「Like Toy Soldiers」に関しては、vocalのリズム感が、実にドラムに合っている。それが(僕には)実に心地いい。

 もちろん、楽曲のリズムに対するvocalのアプローチは様々にあるのであって、必ずしもこうしたパターンだけが良いというわけではない(Hip-Hopに限らず)し、Eminemも、リズムの裏をとっているようなvocalをしている曲もあって面白い。

 けれど、(通でもないせいか ^^;)、ことHip-Hopでは、曲のリズムとvocalのリズムの兼ね合いということがとりわけ重要なのではないかと思う。(あるいは単に僕がRock派だからなのか…)

 そうしたことを考えたときに、やはり、Hip-Hopを演るのに日本語は向いていない、というか不利であるかもしれないな、と思ってしまう。

 というのも、たとえば「Like Toy Soldiers」で、vocalの何がドラムのリズムに合っているかというと、つまりは詞の各単語のアクセントなのである。

 以前職場で英語弁論大会(思えばすごい職場だ ^^;)の指導教官を何度かやった際に、いつも最も力を入れて話していたことでもあるのだけど、英語とはそもそも音節とアクセントが大きな意味を持っている言語であって、多少なまっていたり発音が下手であっても、音節の取り方とアクセントが合っていれば通じるものだし、逆に、音節やアクセントが間違っていれば、びっくりするほど通じにくいものだ。

 音節、と言ってもピンとこない人もいるかもしれないので、少し話しておくと(堪能な人は読み飛ばしてください ^^;)、例えば英語の辞書を引くと、たいていの単語は、いくつかに区切って表記してあるはずだ。それが、音節区切り。(区切ってないのは単音節)

 この音節区切り、僕も中学や高校の頃にはほとんど意識していなかった。アクセントだけを気にしていて、唯一音節区切りを気にするのは、文の途中で行が変わるときに、単語をどこで切るかを調べるためだけだった。^^;)

 しかし、実際の英語では、音節という意識が実に重要で、教育現場ではもっと音節ということを強調してもよいのではないだろうかと僕は思っている。(もっとも今の学校ではちゃんと教えてるのかもしれないが)

 僕がこれを初めて味わったのは、米国人と話していた際に、「platoon」という単語が通じにくかったときだ。

 これはカタカナにすると「プラトゥーン」だが、日本語的感覚だと、どうしても「プ ラ トゥー ン」もしくは「プ ラ トゥーン」というイメージが捨てがたい。
 ところが、こういう意識で発音すると非常に通じにくい。通じにくいからこちらがゆっくり言い直すと、上記のように区切ってしまい、ますます余計に通じにくくなってしまう。

 この単語は「pla-toon」であって、つまり2音節の単語だ。
 カタカナなら「プラ トゥーン」である。

 日本語の感覚では理解しにくいが、つまり、「pla」は「ひとつの音」なのだ。したがって、彼らの発音では、限りなく「パ」という音に近づく。「パートゥーン」という感じだ。
 彼らにこれをゆっくり言ってみてくれと言うと、「パーー トゥーーン」となるだけであって、よほど日本人に英語を教えなれている人でなければ、そもそも「p」と「la」を分けるという感覚がなかなか無い。

 速く話すにも遅く話すにも、タン、タン、タン、タン…とリズムを刻みながら、音節をあてはめて話すと、英語は英語になる。


 さらに余談だが、、、近年浸透しつつある英語俳句というものについて、かねてから僕は大いに不満をもっている。

 当初の英語俳句(20世紀初めころ)は、日本語の5-7-5を、英語で5音節-7音節-5音節で行っていたが、さすがにこれでは情報量が多くなり過ぎて、俳句の短さのよさが出ないと気づき(当然だ ^^;)、その後は、基本的に音節数を気にせず、言わば適当に短くつくるということになって今日にいたっている。

 日本でも松山市をはじめ、外国人の国際俳句コンテストをいろいろとやっているが、その受賞作を見ても、僕に言わせれば、ただ短い詩という以上の何ものでもない。

 リズム感を抜きにして、俳句などとどうして言えるだろう。
 また、その規矩に当てはめようと工夫するところに楽しみもあるのに。

 今さらもう遅いのだが、僕は、日本の俳人たちが、海外に紹介し広めるにあたって、英語の音節というものを十分に理解していなかったのではないかと思っている。

 僕の考えでは、俳句のリズムを英語に置き換えるならば、それは3-4-3音節のリズムに相当すると思う。このリズムを規矩として俳句を紹介してほしかったものだと思う。

 心の中でタンタンタン…とリズムを打ちながら、俳句を言ってみてほしい。
 「五月雨を(タンタンタン) あつめて早し(タンタンタンタン) 最上川(タンタンタン)」

 この3-4-3音節を基準に、英語の場合は字余り(音節余り)に多少寛大にし得る。

 Summer moonlight
 Only white that
 Midnight sky
 (あくまで仮作)

 一行目は字余りではあるが(summerを一音節風に読む)、これが俳句のリズムではないだろうか。これもタンタンとリズムを打ちながら読んでみてほしい。そうすると、俳句のリズムであることがわかると思う。
 サマ・ムン・ライ/オゥン・リー・ワイ・ザッ/ミッ・ナイ・スカィ、といった感じか。


 さて、大いに脱線してしまったが… ^^;) 話をもどすと、
 つまりは英語とはもともとリズム感を多分に含んだ(というより不可欠)な言語であって、Hip-Hop、Rapといったものを生む土壌はそこにあるのだろう。
 一方で日本語の場合は、Hip-Hop、Rapにしようと思うと、こうしたものを言語に無理矢理にあてはめざるを得ず、かつ、当てはめ得ても、(英語にくらべれば)どうもしまりのないものにならざるを得ない。
 (だからと言って日本のものを全て否定するつもりはないし、この点、意識的か無意識か、うまい工夫をしているartistもいる。この日本語での工夫についてはまた別の機会に)

 「Like Toy Soldiers」では、彼の曲の中でもとりわけ、音節とアクセントがドラムに合っていて、だから特に心地よく感じるのかもしれない、そう思った(ことをただ言いたいためにここまで余談を交えるか、って感じだが ^^;)


 さて、歌詞も好きだと書いた。
 もっとも、この曲は、彼が他のartistたちや雑誌とのbeefについて書いているに過ぎないのだが… ^^;)

 ちなみにbeefとは、何て言おう、彼らの業界で、自分の曲の中で他人のことをコケにすること、それがさらに過熱したような状態の、つまりはケンカのことを意味していて、この曲では、そうしたbeefはもうこりごりだ、オレはもう止める、といったメッセージが歌われている。
 曲中、This isn't what I'm in hip-hop for, it's not why I got in it とも言っている。

 それでも、僕が好きなフレーズもあって。
 Even though I hold the weight of the whole world on my shoulders
 I am never supposed to show it, my crew ain't supposed to know it
 なんて部分とか。

 「Like Toy Soldiers」の歌詞
 あるいはここも(こちらは曲のタイトルが間違って Little-になってるけど)

 ちなみに、僕は詞というものも好きなので、よく読むんだけれど(たいてい完全には聴き取れないもので… ^^;)、上記のサイトはお薦めです。


 いったい何の話だかわからないような内容になってしまったけど…
 「Like Toy Soldiers」はよくかかっているので、興味があれば、一度耳を傾けてみてください。

 アルバムは、「Encore」(アンコール)に入ってます。^^)
 (リンク先、Amazonでも試聴できるけど、この記事先頭のBGMリンクの方が、イイ感じでとれてます)

 cover
posted by Shu UETA at 08:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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