2005年01月13日

インドネシアの剣心

music そばかす(「るろうに剣心」) / JUDY AND MARY

 昨日、インドネシア、ジャカルタの子がICQで話しかけてきた。
 プロフィールを見ると、日本アニメ、J-POPのファンだということで、またいつものクチか(アジア、フランスから声をかけてくる女の子にはこの種が多い ^^;)…、と乗り気でもなく適当に相手をしていたところ、「るろうに剣心」の話題で図らずも意気投合してしまった。^^;)

 しかし会話の中でちょっとした収穫もあった。
 ひとつは、新撰組の意外な国際認知度について。
 もうひとつは、インドネシアにおける日本の番組、音楽の放送権獲得の困難さについて。

 ICQで声をかけてくる人には、日本語を勉強しているというひと、特に日本のアニメ、コミック、あるいはJ-POPのファンという人が多い。昨日の子もこのクチだ。
 僕自身は、(僕のことだから概ねを知ってはいても)アニメファンというわけではなく、J-POPがさほど好きというわけでもなく、そういう人たちからのアクセスをそう積極的に歓迎しているわけではないが、例えばそういう趣味でかつ政府関係者やビジネスマン、研究者という人もいるので、まあ暇である限りは対応している。^^)

 昨日の子は、日本のドラマ、アニメ、J-POPの大ファンということで、「特に好きなのは何?」と水を向けると、ドラマでは木村拓哉の出ているドラマ、アニメでは犬夜叉や幽遊白書その他いろいろ、J-POPではラルクということだった。
 ラルクについては詩が好きなバンドではあるが、ドラマ、アニメともさほど興味がなかったので、適当に聞き流していた。

 が、剣道と剣術の違いを尋ねられて驚いた。
 なぜそんなことを知っているのかときくと、「るろうに剣心」を見てるから、と。
 僕はそうアニメ好きではないと書いたが、剣心やワンピース、ぬーべー等は別だ。^^;)(もっとも、アニメというよりコミックで好きだが)
 「るろうに剣心」は一見勧善懲悪のようでいて(初期はそうだが)、実際にはそうでない、つまり主人公に敵対する側にもそれぞれの立場があるという、僕の好きなタイプのものだ。

 で、図らずも釣られてしまったというか、剣心の話でそれなりに盛り上がってしまった。^^;)
 さてそこで最初に、登場人物で誰が好きかという話を振られたわけだが、僕が、比古清十郎(剣心の師)や斉藤一かなあと答えると、彼女も同じだといってまた意気投合。

 その中で、斉藤一がらみで、新撰組のことを聞かれた。(維新後警察に藤田という名前で勤めていたのは本当か、と。)(ちなみに本当)
 新撰組なんてよく知ってるな、ときくと、誰でも知ってる、なんて答える。
 それは、剣心ファンなら誰でもってこと?とたずねると、そんなことないよ、世界的に有名でしょう、新撰組は、と答えてくる。
 うそだろう、と思いつつ重ねてきくと、サムライの本は何を読んでも新撰組の話が出てくるし、他の外国の人と話したりチャットしたりしても、剣心なんて知らない人でもみんな新撰組は知ってると言う。

 とは言っても、それはそういうジャンル、サムライなどに興味のある一部の人々だろうとは思うのだが、しかし、それでも僕が思うよりはどうやら有名高名のようだ、新撰組は。^^)
 これが、収穫、というのは大げさだが、面白かったことの一つ。


 もうひとつ、収穫、気になった話というのは、そうした日本ファンとしての彼女の悩みについてだった。彼女の話によると、彼女の悩みというより、インドネシアの悩みといった話し方をしていたが…

 それは、日本の番組や音楽の放送が、その権利を得るのが非常に困難であって、なかなか放送できないということだった。そこで、(僕も苦笑しながら聞いたが)海賊版に頼っていると語る。
 ちなみに海賊版は、中国、ロシアに次ぐくらいでインドネシアの名があがるのが一般的だ。

 海賊版でなければ、英国や米国の正規版の輸入で、英語字幕のものを、みんな見ているらしい。(ドラマに関しては、僕はそれはシンガポール版の勘違いではないかとも思うのだが)

 インドネシアでは、日本の番組は放送権を申請してもなかなか許可されない、きわめてstrictなものとして有名であるようだ。
 さらに驚いたのは、MTVインドネシアで、J-POPファンが多いため当然J-POP番組があるのだが、毎度のように、VJが、さまざまな曲についてその都度、日本のpermissionが取れず、放送できない旨、視聴者に謝罪があるらしい。
 彼女の話によると、ある番組のVJは彼女同様ラルクの大ファンだそうだが、ラルクの曲がかけれず、いつも文句を言っているとのこと。
 仮にもMTVで… 信じられない。


 実際にいったいどういうことになっているのかわからないが、この話の限りでは、少なくとも、日本の番組や音楽を好きな人が満足するだけ自由に放送を享受できる様子でないことは間違いないらしい。

 果たして、本当にpermissionが厳しいのか、あるいはひょっとして、認可というより値段が高すぎて手が出ない可能性も考えつくが(企業は実入りにしか興味がないだろうし)、ちょっと事情を調べてみようかという気になった。

 ちなみに、韓国のドラマや音楽はほぼ何の障害もなく大量に放送されているらしく、近年インドネシアでもドラマは韓国の方が日本のドラマの人気を上回ってきているとのこと。

 それが認可の問題であれ、料金の問題であれ、せっかくそうした現代の新しい日本文化の世界への浸透性があるにもかかわらず何か大きな阻害要因があるとしたら、実に問題だ。
 僕に言わせれば、政府もそうした海外への流通を奨励、さらに必要なら助成すべきだとすら思う。

 冒頭にも書いたとおり、現実にそうした日本アニメやJ-POPに触れた世界の人々が、日本に興味や親近感をもち、ICQでも日本人に声をかけてくる。彼らはたいてい日本語も勉強している、もしくはしたいと言っている。

 僕の個人的経験では、アジアの他ではフランスにもそうした人が多い(アメリカの場合は、普通のひとではなく、いわゆるオタクがほとんどになる)。
 フランスでは、かの「ベルサイユのばら」もフランス語吹き替えで放送されたと聞く。(個人的には、フランス人の性質から考えて、「あさきゆめみし」(源氏物語)あたりをぜひ放送してみてほしいと思うが)
 スペインの子どもなら、しんちゃんとミサエを知らない子はいないとも言う。埼玉県と春日部は皆知っているとも。^^;)

 彼女も、日本語をどうやって勉強したらいいか調べてると言っていた。
 しかも既に、簡単な言葉は知っていて、使ってくる。
 hontou? usodayo sokka? ganbaruyo arigatou matane なんて。
 すべて、アニメを見てて自然に覚えたそうだ。
 そして、彼女は日本に住むのが夢だと言っていた。
 大げさと思うかもしれないが、僕が話相手になった範囲内だけで、フランスにもイタリアにもそう言う人がたくさんいる。文化の浸透、そして憧れへというのは普通のことだ。昔から多くの日本人が映画やドラマで見るアメリカに行きたい、住みたいと思ったように。

 こうした親近感や理解が、下手な外交努力などよりどれほど日本にとって力となり得ることか。

 それらがまだあまり顕著に目立っていないのは、そうした世代がまだ若いからだ。これから、彼らが社会の地位を占めるようになっていく。
 そうした流れを、特に国家戦略というわけでもなく、ただただ日本のコンテンツメーカーの優秀さゆえに幸運にも実現しかけているのに、これを助長しない手はないと思う。

 これは、十分に国家戦略に該当させ得るトピックだと思う。
 個人的に少し実情を調べ、策を考えてみたい。

 ps くだんの彼女、インド洋大津波後の支援への感謝を日本の方々にぜひよろしくとのことでした。^^)


posted by Shu UETA at 23:12| Comment(6) | TrackBack(0) | 天下-安全保障・外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本に関心をもってくれる人がいるのに、
そんな障害があったなんて知りませんでした。

もっと積極的に日本の文化を開放して、
どんなカタチでも、
日本に親近感をもってもらえることは
最高の外交手段だと思います。

このへんは、もっと政府・外務省が
口を出してもいいのではないかと思います。

やるべきことをしないで、
どうでもいいことばかりやるのが習性になってるようですが、
そろそろちゃんと実のあることをして欲しいものです。
Posted by jk at 2005年01月13日 23:39
なんだか毎日すみません。

新選組(ああもうこの変換になってしまった!)を「サムライ」の典型と捉えられてしまうと、ちょっと困りますねえ(^_^;)

ちなみにヨーロッパでは、私の体験では、イタリアが一番日本アニメ(と特撮)の放映が多かったです。
フランスは一度しか行ってないのでわかりませんが、ドイツは以下の通り。2001年に私がドイツを再訪した折には「まんが」というペーパーバックのコミック(見開きの関係でウラ焼きした漫画のドイツ語訳)が売られていて、一冊買ってきました(^_^;)
http://park3.wakwak.com/~tdu/deutsch_television.html
なおドイツで「キン肉マン」が放映できなかった事情はご存知と思うので(^_^;)省略します。

たしかデーブ・スペクターも鉄腕アトムか何かに魅せられた一人ですね。「ANIME」「MANGA」がここまで日本を有名にした今、ドイツのように、国立の語学学校を世界中に作ってもいいのではないか、という気がします。教材をアニメなんかにしたら、大喜びしそう。
Posted by ぶんだば at 2005年01月13日 23:56
> jkさん

 実際、障害があるのかどうか、あればどういう形のものなのか、まだ確認していないので何ともいえませんが、実にjkさんの仰る通りだと思います ^^)

 ここでする話でもないのですが、彼女のこと、僕も陰ながら早いご回復を祈念しています。ちょっとコメントは既に十分あって月並みになりそうでしたので ^^;)
Posted by Shu at 2005年01月14日 00:45
> ぶんたばさん

 たしかに、イタリアの人もよくアニメ関連で声をかけてくることがあります ^^)
 リンクを拝見したところ、ドイツでの日本アニメはかなりクラシックですね。どおりで、と納得がいきました。
Posted by Shu at 2005年01月14日 00:50
こんにちは
お久しぶりです

日本のmangaってアジアのほうでも有名なんですね。
韓国でJ-popが人気があるのに解禁されてないっていう話は有名でしたけど(いまは解禁されたのでしたっけ?)
こういう事で簡単に国境を越えて交流できればおもしろいですね。
しかし日本はなんで許可を出さないんだろう。
以前中国に行ったときには韓国のドラマが放送されていました。韓国の番組って敷居が低いんでしょうか。

ICQってちょっとおもしろそうだなあ、って思いました。そこは本題じゃないのに・笑。

(天皇制、もうちょっと待って下さい〜; ってまだ引きずってるんですけど。本読んでないのでなにも言えず)
Posted by noel at 2005年01月14日 10:26
> noelさん

 ひさしぶりですねっ ^^)

 mangaもアニメもかなりの浸透力を持っているようですね。これらはアジアであるとヨーロッパであるとを問わずですから、つまりは普遍性のある価値をもっているということでしょうか。

 (天皇制というより国旗国歌の件でしたよね、まさか天皇制を問題にするとなると相当に抜本的な問題提起になると思いますが… ^^;)、いずれにせよ、マイペースでどうぞ。もし何かいいこと思いついたらぜひ教えてください。^_-)

 ICQは、今日では下火になりましたが、面白いですよ(世界では下火になってません)。他にもメッセンジャーはありますが、海外とやりとりするなら、ICQかodigoが、話し相手を探しやすく、探されやすく、便利です。他のは、知り合い以外の人を探すのに不便ですから。
 いつかもし始めてみたら、僕にも気軽に声かけてみてください。blog topの左上に各メッセンジャーのIDが書いてありますし、ICQとyahooについては僕がオンラインかどうかも表示してあります。^^)
Posted by Shu at 2005年01月14日 18:23
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