素晴らしいっ…というより僕が単に共感するだけかもしれないけれど…
共感、というとおり、この話は人によって評価が随分と異なるかもしれない。けれど僕は、軽い衝撃を受けた、くらいに共感した。
ロックバンドをやっている主人公の前に、ボブ・ディランが現れるようになった。
ディランは決して何も語らないが、主人公はディランの眼差しに考えさせられ、時に勇気づけられ、時に叱咤され…
本物のロックとは何か、真実の愛とは何か、ということに苦悩する。
主人公たちのバンドは、かつてのバンドブームに乗って登場したバンドだけれど、バンドブームの頃といえばそれはちょうど僕の世代。僕が大学の頃がそのピークだった。主人公たちも、「イカ天」と覚しき番組で世に出たようだ。
もっとも、僕は、主人公が批判する、ただの遊びバンドに過ぎなかったけれど。
僕が共感するというのは、ロック云々ということではない。
この話ではロックがテーマになっているけれど、要は、生き方の問題だ。
「ほんとうのロックとは」という苦悩は、生き方の苦悩だ。
そして、「ほんとうの愛とは」ということも大きなテーマになっている。
ほんとうに青臭い。
そういうのが苦手な人にはダメだろう。
柵や塀の外側に出てみることができない安穏人にも、ダメかもしれない。
随所に、ディランの詞が出てくる。
愛しかない それが世界を動かしている それなしでは何もできない |
主人公は、本当のロックとはなにかというストイックと、ついつい易きに流され周囲に流される自分との間で葛藤し続ける。
それを見守る彼女が、本当にいい彼女で、読んでるこちらが好きになりそうだ。^^;)
ロックであれ何であれ、こういう葛藤は誰しも経験があるかもしれない。
あるいは、かつてそういう時期があったことをもはや忘れているかもしれない。
そんなことにいちいちシリアスになったことなどない人もいるかもしれない。
今もそうして戦っている人もいるかもしれない。
自分自身と闘っている人ほど 激しい闘いをしている人はいない。 もし内なる敵と戦っているならば 外側の敵が割りこむ余地はないよ |
できることは しなきゃならないことなのさ しなきゃならないことをするんだよ だからうまくできるのさ |
僕は、主人公たちの曲、「アイデン&ティティ」も好きだ。
音は聞こえないから、歌(詞)というべきか。
僕と君とでアイデン&ティティ、って。
僕もティティを探してる、ずっと。
映画「エージェント」での「You complete me」というセリフを思い出す。
万人にお薦め…とは言いがたいかもしれないけれど、(一見して絵が拙いし)
しかしもしこれを好きだという人がいたら、随分青臭い人だろう、僕と仲良くなれるだろう、あははは。
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