2009年03月04日

北朝鮮ミサイル迎撃は悩ましい


 かなり重大な発言だと思うんだけど、意外にさほどの注目を浴びていないような感もある、防衛相による北朝鮮牽制発言。
 「北朝鮮が弾道ミサイルを発射すれば撃墜することも検討」
 重ねて、「もし人工衛星であっても同じ」とも。

 防衛相、外相の揺らぎのない発言ぶりからすると、この件に関する米国との調整は十分に済んでいるのだろう。
 さきのクリントン氏訪日の際にも確認があったと思われる。

 北朝鮮の発射ミサイルを撃墜するということは、言うまでもなく軍事的攻撃であって、重大な行動となる。国家の意思と力の発動として相応の覚悟が必要だ。
 そして、実際に行動しないまでも、そうした可能性を宣言するというだけでも、日本としてはちょっと目を耳を疑うような変貌ぶりではないだろうか。(僕としては歓迎。長足の成長といえる。)

 しかし迎撃の実際問題としては、非常に悩ましい。

 1 軍事ミサイルであれ、衛星運搬ミサイルであれ、それを破壊するのは軍事攻撃だ。撃墜に成功した場合、それが真に戦端となる可能性を全く否定することはできない。(つまり北朝鮮の反撃)

 2 また、試みたにもかかわらず撃墜に失敗した場合、国際的な安全保障力学的にも、政治的にもダメージが大きい(MDの実効性)

 3 成功しても失敗しても、中露両国にかなりの程度、データ収集を許すことになる

 4 これらの考慮から、迎撃自体は米国ではなく日本のみが行うよう割り当てられている可能性がある(失敗した場合でも米国の抑止力を維持するためには止むを得ない面もある)

 5 衛星であったかどうかは遂に最後まで確証することはできない。米国内のロビー団体の動向、国内の特定勢力のキャンペーン次第では、一部マスコミ等も力づけて、大々的な非難が巻き起こる可能性もある。(民生に対する軍事攻撃/自衛の限度を超えた軍事力行使/個別安全保障の逸脱/補償 etc.)

 6 迎撃しない場合でも、北朝鮮のミサイル技術は未熟であって、我が国領土内にミサイル構成物が落下してくる可能性も現にある(昨年も空中分解している)
  そうでなくとも、ロケット切り離し部分にせよ、市街に落下すれば被害は数百メートル範囲の甚大なものとなり得る。

 7 地下注入設備も完整しているとの情報もあり、燃料注入等の事前兆候を察知し損ねる可能性もある


 僕自身の現時点での感触としては、日米ともに、「撃墜するぞ」はブラフ、あくまでも牽制ではないかと思う。そして、それで良いと思う。(6項が無論脅威ではあるが…。あとは蓋然性の問題になる。)
 ただし、もし本当に北朝鮮が発射を行った場合、「シミュレーションの結果、撃墜は成功したことが確認できた」程度の発表は必要だろう。



posted by Shu UETA at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 天下-安全保障・外交 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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