2009年03月04日

民主小沢代表違法献金問題の活かし方


 民主党小沢代表に対する違法政治献金疑惑問題が世間、とりわけ政界をにぎわせている。
 賑わいぶりは十分過ぎると思われるので、特にニュース等のソースリンクは貼らない。

 思うところを少々。
 主旨は、このとおり。

 与党陰謀捜査とは考えづらい。
 それがいずれであれ、小沢氏の危機管理には迂闊の面が否めない。
 民主党の立場に立てば、小沢氏は、あえてすっぱり職を辞し、民主は新代表ならびに新執行部体制づくりで盛り上げることで、むしろ来る選挙戦における有利を補強できる。
 自民側に立てば、先手をうって関係議員を処分して民主を追い詰めることができる。その後の民主党内政局には、影に日に手を突っ込んで撹乱すべき。これら撹乱は、一元指揮のもと計画的になされるのが効果的。
 また、両党とも、それを願わない人々は、政界再編策動グループの動向に注意を怠らないよう万全の意を用いる必要がある。


 ことの善悪については、ことさら述べない。
 違法であれば、善行であるわけはないので詳述は不要。

 与党陰謀論というのは、今回については可能性薄いと思う。
 第一に、献金は与党にも渡っている。故にだろう、自民党も民主代表スキャンダルに浮かれるどころか、ある種の緊張感すら漂っている。
 また、特捜部は、ずっと以前から捜査を続けていた。一般的に報じられていた部分だけでも既に昨年6月頃から関係者逮捕、取調べは始まっている。捜査着手はさらに遡るだろう。
 そして、ここ10年で1億超、今回の第一秘書立件に関してもここ4年ほどの総額8千数百万円のうち2千万円超という小沢氏への突出ぶりに照らせば、「なぜ小沢さんだけが」との疑念にはあたらない。この金額を見れば、「小沢さんだけ」というより「まず小沢」となるのはごく自然なこと。そうでないほうが、かえって不自然、格別の説明が必要となるだろう。

 小沢氏ならびに民主党は、野党であるにしても、この件、迂闊に過ぎると思う。
 前述のとおり、検察の捜査はすでに水面下を脱すること昨年初夏にも遡る。
 毎日新聞の記事によると、おおまかな流れだけでもこのとおり。(同紙の活用には忸怩たる思いがあるが、うまくまとまっていたので借用)

 

 ◇西松建設事件を巡る経過表◇
<08年>
6月4日
 東京地検特捜部が西松建設本社などを外為法違反容疑で家宅捜索

11月19日
 高原和彦元副事業部長を3500万円を着服した業務上横領容疑で逮捕

   21日
 特捜部が国沢幹雄社長宅を家宅捜索

<09年>
1月14日
 藤巻恵次元副社長らを外為法違反容疑で逮捕

  20日 国沢社長が辞任。直後に外為法違反容疑で逮捕

2月 3日
 特捜部が藤巻元副社長らを起訴

  10日
 特捜部が国沢前社長を起訴。法人としての同社も略式起訴

  24日
 特捜部の事情聴取を受けた長野県知事元秘書の同県参事が自殺

3月 3日
 小沢一郎民主党代表の資金管理団体の会計責任者で公設秘書、大久保隆規容疑者らを政治資金規正法違反容疑で逮捕


 これだけの動きがありながら、しかも現実的には報道以上に直接検察当局への情報伝手もあってしかるべきことを思えば、ことここに至るまで対応策を取ってこなかったのは、いかにも迂闊だ。時は政権奪取の天王山も近いという目下にあって。
 あるいは、既に必要な対応がとられているのなら、その手並みをこれから拝見できるだろうが、秘書グループの束ね役とも目される股肱の秘書が直接逮捕されている点からすると、その可能性は低いのではないかと案ずる。

 日ごろ、民主党議員たちに対して考えがもうひとつ甘いと苦言を呈する小沢氏にしては、灯台下暗しの感も否めない。
 僕程度の者でさえ、もし氏の身近にあったなら、少なくともこうした奇襲的な形は避け得たのではないかと思う。


 さてしかし、ピンチにはチャンスの目があるというのは多くの場合においていえる。

 今回の件、もし民主党の立場に立つならば(小沢氏自身の立場としても)、
 活かす道はあるようにも思う。

 まず、氏は、できるだけ「世間が驚くほどの潔さで」代表職を辞する。
 このとき、嫌疑を認める必要はない。今日の発言内容のとおり、認めたくないなら、それは貫徹してもよい。むしろ、認めはしない、潔白を主張しつつも、しかし「不徳の致すところ」として綺麗に身を引く。(また、そうすればこそ、後々に復権の機会はいくらでもある。自分から辞めなければ今後影響力は維持し難い。)

 民主党は、小沢氏を「選挙の顔」と言うが、果たして彼らが思うほど、選挙に対するその効果が大きいとは僕は思わない。
 次回選挙で、従来の自民支持から民主に転じようかという人々の中に、特に小沢氏に負託してそれを動機づけられているという構成部分は、ごくごく小さいのではないか。民主に転じようかとう気持ちの源は、もっと別にあるだろう。

 民主党は、自民党内の「祭り」に「もってかれた」ことが幾度もあるだろう。
 一言でいえば、それを今度は自分が目論めばいい。
 選挙に絶対はない。目下、世間の空気は民主党政権誕生に傾きつつあるとはいえ、まだまだ打てる手は打てるだけ打つべきだ。
 幸い、マスコミは全体潮流としては民主党の味方というに近い。
 新代表、新執行部選びで、大いに祭りをうてばよい。

 もうひとつ、この新執行部体制構築の中で、現に政権を獲得した場合の意思決定システムの雛形、もしくはそのものを生み出しておくのは、現実的な要求だ。

 小沢代表体制は、「小沢氏への一任」という了解によって、党内の深刻なイデオロギー等対立を無理に調整しようというシステムだが、これは、本来きわめて危険なシステムだ。
 第一に、それが政権であれば、国民・国家にとって危険だ。それは個人に対して権限を与え過ぎる。
 第二に、民主党そのものにとって、反自民だけを掲げる野党時代であればこそともかく、いざ政権をとれば、この一任了解はいつ崩壊してもおかしくない。紛糾と瓦解もあり得る。

 現実的な政権構想を視野に入れ、正常な党内調整システムを、この際に構築すべきだ。そのうえで、今日のように選挙後と逃げをうつのではなく、選挙までに、党としての総合政策をまとめることを、その試金石とすべきだ。
 民主党内というのは、かつての国会与野党が一党内に存在するようなもの。国対委員による調整・取引等のようなシステムが、党内に必要だ。そうした機関と習慣を、速やかに党内に確立する必要がある。そのように機能し得ることを主眼に、新しい形で、執行部を構成する。

 また、小沢氏がいち早く職を辞すなどすれば、民主党は大手を振って、与党側の関係者を糾弾できる。



 次に、与党側の立場で考えれば、この機を活かすいくつかの着意事項があると思う。

 まず、西松建設の政治献金絡みで疑惑のある関係議員等については、一刻も早く「民主党に先んじて」、可能な処分を行うべきだ。
 検察の手を待たず、党内調査の結果とでも何とでもして、公表のうえ、処分をとる。
 金額的にも、継続期間的にも、おそらくは小沢氏以上の重度の者は、おそらくいないだろう。そうであればなおさら、この先手は、大いに民主党に対するプレッシャーになる。
 民主党のように下品に口に泡して口撃する必要はなく(それはかえってイメージを損なう)、淡々と冷静に若干の非難を加えるだけでよい。

 シナリオ1は、小沢氏の引責を狙う。
 上述のような冷静な批判のジャブを重ねつつ、民主党内の反小沢勢力を活性化するためのあらゆる手段をとる。これは、策源が与党であることを明かしたものと、隠したものと双方にわたっておこなう。
 引責辞任に追い込んだ後は、ポスト小沢の騒乱に、大いに手を突っ込む。目的は撹乱であるので、民主党内が一本化しないよう、さまざまなルート、コネクションで、相反する支援と刺激を加える。これらは、一元的に一箇所からの統制によって行われるべきだ。

 シナリオ2は、小沢氏の留任を維持する、もしくは引責に追い込めない場合。
 この場合は、小沢氏の責任を日々、さまざまな形である程度攻撃せざるを得ない。ただ悪口を言うのではなく、冷静に、それらが民主党のイメージを下げることを目的に発言は調整される必要がある。
 一方で、民主党内の不服グループや反小沢グループに対する工作を行い、党内離間を画策していく。

 いずれの場合も、強面役は、公明党に割り振るべきだ。ストレートに強く糾弾する役まわり。(ただし、公明党にこの件の関係者がいない場合)
 こうしたイメージに公明党がもっとも似つかわしいに加え、自民の立場で考えれば、来る選挙後の動向も視野に、公明と民主の間の感情的な溝もできるだけ深くしておくにこしたことはない。


 ちなみに、自民党であれ民主党であれ、政界再編策動グループの動向には、十分な注意を払っておく必要がある。



 こうしたことを考え、あるいは書いていると、つくづく、気分の悪い話だと思う。ここに書いたようなことは、ごくごく上品な部分だけれども。
 僕は本当は、こういうことを考えることが嫌いだ。
 気分は悪いが、こうしたことを考えるのが僕の表芸ではある。政局なんぞよりは、外交、あるいはビジネス戦略などのほうが余程に気持ちは後ろめたくないが、しかし、小泉さんに見るまでもなく、彼らは、まず戦いに勝ち残らなくては本来の理念も実現の陽の目を見ることがない。
 願わくば、僕が何かをするときには、僕ではなく、こうしたことを一手に引き受けてくれる、僕などよりはるかに凄腕のプロフェッショナルの、傍らにあってくれんことを。
 (ちなみに、日本では与野党ともに、そうしたプロを欠き過ぎだ。故に国内闘争は児戯に似てみっともなく、また世界と渡り合うにも小児扱いされがちだ。)


 僕は、民主党を支持していない。あれほど危険な政党は、他に類を見ない(もちろん私的主観)。
 ここで、民主党側に立っての意見も提案しているのは、それとは別の客観的な話だ。
 なので自民党側の話もしてバランスをとっている。

posted by Shu UETA at 03:37| Comment(0) | TrackBack(2) | 天下-その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

検察の国策捜査
Excerpt: ◆準大手ゼネコン「西松建設」からの企業献金に絡み、民主党の小沢代表の公 設秘書が政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された。◆政治資金規正法は政党側以外への企業献金を禁じている。 ◆検察は、..
Weblog: ドクター国松
Tracked: 2009-03-04 08:25

皆さん陰謀論が好きなんですねぇ
Excerpt: (サマリー)野党の首領に捜査の手が迫ってるからって「国策捜査」呼ばわりはないんじゃないの?
Weblog: 福田川新報
Tracked: 2009-03-06 22:39
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。